主 2017-01-16 01:20:26 |
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>柚舞 【那智/先輩と後輩】
( いつも通りに先輩達と挨拶を交わし、指示された仕事を持って、敢えて彼女とは離れた席に着く。ちらりと彼女を見やれば此方を気にする様子もなく、いや逆に見ないようにしているのか普段と変わらないクールな表情で仕事に取り組んでいて。前々からこうして彼女の真剣な表情を盗み見るのが好きだった。途中で目が合って、“ちゃんと仕事しなよ”なんて視線や口パクで合図された事もよくあったけれど、それも思い出になっていくのだろう。…このままではいけない。ちゃんと話したいし伝えたい。二人きりになれる場所で、ゆっくりと落ち着いて。そんな風に考えていたので、彼女からの声がけは正直ラッキーだと思った。彼女と目が合う事はなかったが、少なくとも彼女も話をしたいと思っているのならそれだけで充分だった。返事をしようと口を開いた矢先、別の先輩から彼女に声がかかる。彼女へ向ける眼差しに胸がざわつく。──ああ、そうだ。確かこいつは彼女に気があるんだった。聞いたのは随分前だし、自分が彼女を独占していたようなものだから眼中になかったが、今回の噂もあってチャンスだとでも思っているのかもしれない。まだ恋人ごっこが続いていたのなら、二人の邪魔する事など簡単だっただろう。でも今はそんな権利すらないのを言い訳にし、折角のチャンスを無にする自分は何がしたいのか。 )うーん、居残りしたいのは山々なんだけど…ほら、先輩たち受験生だし、やっぱ勉強優先にしないとじゃん?譲れないとばかりに舞先輩頭いいんだし見てやんなよ。でさ、実は俺もこの後ちょっと約束あるんだよね。仕事は持ち帰って明日までにやってくるからいいでしょ?ってコトで、お疲れ様ー!( 笑顔で明るく振る舞うが、この後も偽りの自分を演じ切れる自信がない。負の感情に支配される前に見え透いた嘘をついて書類を纏めると、その場から逃げるように退室し )
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