▷◀︎ 2016-12-26 23:06:48 |
通報 |
態々有難う御座いました。お前様も大変でしょう、頑張って下さい。
( 何時も通り、飴の甘い香りが露店の周りを充満している。漸く店に辿り着いた様で、離れて行く掌。ふわりと飴の香りに混じって彼の匂いが風と共に頬を撫ぜ、目の前で屈んだのだろうと理解し。最後まで崩れることのない柔らかい彼の声、つくづくと知らされる彼が警察であるという事。彼の捜査区域はこの辺りでは無い為、もう二度と会うことは無い。特に彼自身を気にするべくもなく、去って行く足音を気にするつもりもない。一度深く頭を下げては、雑踏に紛れて行く足音を思考から無理矢理消し去って、次の仕事に備えて店仕舞いを初めて。途中子供の無邪気な声に誘われるが如く、飴を差し出し乍暗殺の依頼に向けて家へと一度歩み出し。段々と暮れていく空を見遣りつつ、何時も通り持ち歩く仕込み杖。目元の包帯をするりと解けば、僅かに赤味を帯びた世界が瞳に飛び込んでくる。標的の元へと緩慢な動作で歩み寄っては一言二言会話を交わし、躊躇なく喉元を掻っ切り。周りに飛び散った液体を指先で掬い上げては、近くの壁に英文とSと言うイニシャルを書いて )
トピック検索 |