→ in the land of Nod ← 

 → in the land of Nod ← 

都々  2016-06-18 21:21:15 
通報






⊿ 也放浪者 / 独り言 / ロル練 / pf作成 / 設定案メモ / 乱入歓迎 etc.




    

コメントを投稿する

  • No.641 by 都々  2018-01-18 19:15:20 






▽ 提供世界観その2


人と妖怪。嘗て互いを認め合い、共生の道を歩んでいた二つの種族。今ではその平和な時代も終わりを告げ、妖怪は人を、人は妖怪を忌むべき存在と捉えるようになっていた。 

和の国、京。二つの種族の抗争により各地で戦争が相次ぐ中、大きな力を持った何者かの手によってその地の周囲には大きな結界が張り巡らされた。その強力さ故に自由に出入りできる者の数は大きく減り、京は世界でたった一つの人と妖怪が共に生きる街と化した。__そこには闘いとは無縁の平和が広がっている。世界各地で囁かれるそんな噂を耳にし、京へ入ることを望む者も少なくはない。しかしその結界は強力且つ複雑な作りをしており、実際に入り込める者は極少数。 

今日も一人の妖怪が京へと向かう。その土地に根付く平和が仮初のものだとは知りもせず。


─────────────


安息の地を探し求めていた。  

戦争で家族を失い、多くの友を亡くした。故郷が人間に占領されてからは更に過酷な毎日が待っていた。力を封じる手枷足枷に繋がれ、奴隷として家畜のように扱われる日々。実験用のモルモットにされた仲間、人間の欲を満たす為だけに使われる友人。それでも力を使えない状態では従う他なかった。  

そんな地獄のような日々の中で大きなクーデターが起こった。何者かが収容施設を爆発させたのだ。爆風で頑丈な扉は吹き飛び、火に巻かれながらも外へ外へと必死に逃げた。気付いた時には手枷と足枷は完全に壊れていた。  
密入国の船に乗り込み海を越えて和の国へ向かった。何時の日か耳にした京の街に辿り着く為に。 

何時意識が途絶えたのか、はっきりとは思い出せない。覚えているのは誰かの瞳と笑い声。目が覚めた場所は暗い裏路地、赤い提灯の光がぼんやりと辺りを照らしている。どうやら時刻は既に夜。賑やかな声と鈴の音、それから聞き覚えのない音楽が聞こえる方向を見てみると、ここから少し歩けば広い道に出られるらしい事が分かる。一歩、足を踏み出したその時、誰も居ないと思っていた背後から声が聞こえた。  


─────────────


世界観:和の国、京。現代の京都に当たる地をぐるりと覆うように半透明の結界が張られている。結界は天に届く程高く、上空から様子を見ることは不可能。出入りの方法は未だ解明されておらず、力が強ければ入れるという訳でもない。結界内の殆どは巨大な森と化しており、住人の多くは中心部で生活している。中心部は所謂碁盤の目になっており木造や赤塗りの建造物が建ち並ぶ。赤い提灯が街の彼方此方にぶら下がり、夜には鈴の音と祭囃子が響く。 
住人の殆どは面を被っている。面の形は様々であるが、何れも被る者の正体を隠す役割を持つ。人が被れば人間の匂いを消してくれる他、御札等の道具を用いて発動した術を恰も自らの力で出したもののように錯覚させることが可能。妖怪が被ると妖怪特有の身体的特徴を隠す( 消す訳ではなく見えないように錯覚させる )ことが出来る。どちらが被った場合も犯罪に能力を使おうとした瞬間に持ち主を捕らえる効果が発動する。 
街には治安維持を目的とする“獄卒”が存在している。彼らは皆面を被らず、代わりに紺色の軍服と恐ろしく大きな刀を着用。誰もが自由に出入りできない京の街では二つの種族による争いが禁じられており、戦闘行為を行おうとした者は彼らの手によって粛清される。 


募集Cについて:日本以外の国で生まれ育った妖怪。年齢不問。幼い頃から戦争に駆り出され、数年前には故郷を人間に占領される。収容されていた施設にて京の存在を知り、何時の日か其処へ辿り着くことを夢見ていた。京の中では何らかの力が働いているのか言葉は通じるものの、日本語の読み書きは出来ない。意思がはっきりしないCや悲惨な過去をひけらかすC、極端に絡みづらいCは冷遇。 


特徴:和ファンタジー/騙し合い/謎解き/ホラー/日常
偽りの平和の中で貴方は何を知り、何を得るのか。和の世界観に潜む仄暗い雰囲気、提供Cとの駆け引きを楽しみたい方向け。




      

  • No.642 by 都々  2018-01-18 19:56:53 






(  提供一覧  ) 


「 面も付けずに不用心なお人やこと。そのまま通りに出たら名も魂も、何もかも取られてしまいますえ 」 

: 詠( ヨミ )/ 女 / 年齢不詳 
: 穏やかな傍観主義者。淑やかで冷静沈着、一歩引いた所から物事を眺める様は年齢を高く見せる要因に。器が大きいように見えて意外と気紛れな性格をしており掴み所のない性格。普段他者に対しては面倒見が良く慎重になるものの、自分の事に関しては非常にマイペースで楽観的な思考を持つ。 
: 見た目年齢20代半ば。腰に届く程まで伸ばされた髪は優しい色合いの白銀色。吊り目がちな琥珀色の瞳は面の下で楽しげに細められている事が多い。身長162cm、女性らしい体型。落ち着いた色合いの着物を好み、底が高い黒下駄を着用。白地に朱の模様が入った狐の面を被る。 
: 京の中心部に建つ怪しげな店の店主。店には硝子製の小瓶が所狭しと並んでおり、その上部には人間の名前らしき文字を記した紙が貼られている。瓶の中には色とりどりの淡い光がゆらゆらと。方言使用。 


 ▶ ─────── ◀ 


「 そっちへ行くのは止めたほうがいいよ。‥海の向こうから来たんだね。念願の京へ来た感想は如何? 」 

: 茉莉( マツリ )/ 女 / 年齢不詳 
: 無邪気さ故の残酷さを併せ持つ不思議な少女。天真爛漫で自由気侭、風のふくまま気の向くままに行動する。好奇心も旺盛だが雰囲気はどちらかというと物静か。目移りが激しいように見えて気に入った者への執着は強い。己の行動を制限しようとするものを酷く嫌う。 
: 見た目年齢10代前半。日本人形を思わせる黒髪は毛先が肩に触れる程度の長さ。瞳は深い赤、薄らとした笑みが印象的。身長146cm。白地に赤い薊柄の着物。不思議な文字が書かれた紙を顔隠しとして着用。風に揺れると口元のみ見ることが出来る。 
: 中心部の外れに生い茂る竹藪の中、幾つもの鳥居を潜った先に建てられた屋敷が彼女の住まい。離れの扉には大量の札が貼られ、其処へ時折立ち入る姿が見られる。他人と他人の繋がりを目で見ることが出来るのだとか。 


 ▶ ─────── ◀ 


「 無知程恐ろしいものは無いな。‥ようこそ地獄へ。此処はお前を歓迎するだろう 」 

: 巳月( ミツキ )/ 男 / 年齢不詳 
: 合理主義で厳格な男。正義感は強いが愛想はなく、定められた規則こそ正義と捉える融通の利かない頑固者。真面目過ぎる性格故に機械のような冷たさを時折感じさせる一方、他者を弄ぶ者達に嫌悪感を抱く等、人間らしい感情を垣間見せることも。普段は他人より自分に厳しいものの、刀を握ると短気になる癖有り。 
: 見た目年齢30歳前後。黒髪短髪。切れ長の瞳は淡い青色。表情の変化は薄め。身長180cm。程良く筋肉質でがっしりとした体格。濃紺色の軍服に同色の軍帽を目深に被る。常に巨大な刀を身に着け持ち歩いている。 
: 街の治安維持を目的とする獄卒の一員。仲間の獄卒と共にいる姿を見せることは少なく、京の街を一人で歩き回るのが日課。彼らの存在は謎とされており、何処で生活しているのかを知る者も少ない。




   

  • No.643 by 都々  2018-01-19 08:13:55 






その3の設定を練ってたらいつの間にか寝てた‥。でも好きな要素を詰め込んだトピを作ることはできそう。




  

  • No.644 by 都々  2018-01-21 01:08:36 






▽ 提供世界観その3


何が起こったのか、すぐには理解できなかった。船全体に響いた重い衝撃、鳴り響く警報音。ぐらりと大きく揺れる船体に耐えられるはずもなく、甲板に立っていた己の身体はいとも簡単に外へ投げ出された。

目が覚める、という感覚を再び得ることができるとは思っていなかった。相変わらず船に何が起こったのかも、己があの後どうなったのかも分からないが、どうやら生き延びたらしい。ふと、周りの景色が視界に映る。生きていることに感動する間もなく言葉を失った。

大きな窓硝子、その外側には一つの都市の姿があった。無数の高層ビルが立ち並び、青白い光がそれらを照らす何の変哲もないビル群。そう、何の変哲もない先進国ならばありふれた風景だ。__たった一つ、それらが全て水の中に存在していることを除けば。


─────────────


世界観:現代、地上にその存在を知られることなくひっそりと佇む海底都市“アトランティス”。先進国における都市部と似たような街並みで、幾つもの高層ビルが所狭しと並ぶ。中央には一際高いビルが聳え立ち、一つの街が円状に広がっている。海底に存在する為全体的に暗く、建物を照らすのは青白い灯りに統一。ガラス張りのトンネルがビルからビルへと伸びており、其処を通り道としている様子。水中には当然ながら海の生き物が生息しているが、それとは別に小型の潜水艦やロボットのような物も漂っている。
建物の外観は地上とそう変わらないように見えるものの、科学技術の発展は海底都市の方が幾分か進んでいることが分かる。しかしながら建物の中に入れば機械仕掛けのレトロな空間やメルヘンな内装の施設も見られ、建物の内部はそこに住む住人の趣味趣向によって文化も造りも大きく異なるようだ。街の至る所から人の気配を確かに感じるにも関わらず、賑わっている様子はなく人の姿も殆ど見えない。時折遠くから響いてくる高い笑い声が寒気を誘い、ふとした時に何処からか視線を感じる。


募集Cについて:船から海に落ち、海底都市にて目を覚ました人物。国籍、年齢、性別不問。右も左も分からない不気味な海底都市で訳ありの住人と出会い、水底に沈められた街の秘密を知ることとなる。現実的でない容姿不可。受け身過ぎるC、怖がり過ぎるC、極端に絡みにくいCは冷遇。


特徴:ホラー/特殊嗜好/謎解き/探索/戦闘
海底都市に秘められた謎を解き明かし、地上へ帰る手立てを探れ。ひんやりとした恐怖、“普通”ではない住人との交流と不気味な雰囲気をじっくり味わいたい方向け。




  

  • No.645 by 都々  2018-01-21 20:45:43 






(  提供一覧  )


※ この世界観の提供キャラクターは特に癖が強く、皆大なり小なり常識が欠如しています。指名の際、苦手な方はご注意下さい。


「 やっと目覚めたんだ。このまま永遠にぐーすか寝てるのかと思った。 」

: Shannon Farrell( シャノン・ファレル )/ 性別不明 / 17歳
: 感情の起伏が少なくぼんやりとした印象。覇気が感じられない眠たげな雰囲気を纏うが、口を開けば遠慮の欠片もない鋭い言葉が飛び出す。良くも悪くも素直であり、全ての感情を隠す素振りも見せない。優しさを垣間見せることもあるものの本質は利益不利益しか考えない冷徹な人物。
: 無造作に肩辺りまで伸ばされた黒髪と黒い瞳を持つ。目に光はなく表情も薄い。整った顔立ちで中性的な容姿。身長165cm。黒い七分丈の無地ティーシャツに黒いパンツ、同色のブーツを着用。フードの付いたボロボロのマントを被っており全身黒一色。
: 海底都市第11区、寂れた住宅街に住む運び屋。一人称は俺だが中性的な容姿と声から性別を確定させることは出来そうにない。本人曰く闇が深いこの街で自分は比較的無害な部類なのだとか。


 ▶ ─────── ◀
  

「 素晴らしい!__ああ、これは失礼。驚きに満ちた君の表情があまりに美しかったものでね。思わずそのまま標本にしてしまいたく‥コホン、いや、何でもないよ。そう怖がらないでおくれ。 」

: Carlo Fellini( カルロ・フェリーニ )/ 男 / 32歳
: 表情豊かで陽気な男性。普段からお喋りだが興奮すると口が止まらなくなる性質で、本人も悪癖だと評している。子供のような明るさと無邪気さを持ち、深く考えず思い立ったら即行動派。美しいものを好む一方美的感覚は歪みきっている。
: 癖の付いた焦げ茶色の短髪。鳶色の瞳は優しげな垂れ目。身長177cmの平均体型。容姿だけならばダンディーな優男。白シャツに黒のパンツ、奇抜な柄のネクタイが特徴的。汚れ一つない真っ白な白衣を着用。
: 海底都市第6区、医療地区の一角に医療施設を持つ医師。頻繁に危ない台詞を吐くものの基本的には優しく陽気なおじさま。高度な医療技術を持つらしく腕も確か。彼の住処には不気味な薬品や標本が大量に並べられている。


 ▶ ─────── ◀


「 驚いた?__そう、ここは海底都市。そして貴方は今日から私のお人形よ。拒まないでね、傷を付けるのは好きじゃないの。 」

: Chloe Langlois( クロエ・ラングロワ )/ 女 / 8歳
: 年齢に似合わない落ち着き払った口調が印象的な浮世離れした少女。欲望に忠実で独占欲の塊。目的の為なら手段を選ばないが、反抗しないお気に入り対象はこれでもかという程甘やかし己も甘える。単純な性格で思慮の浅さは年相応。
: 腰まで伸ばされたウェーブ掛かった髪は美しいブロンド。ぱっちりとした瞳は暗い青。口元の笑みは絶えることなく、笑顔からは子供らしさを感じられる。身長126cm。毎日異なるデザインのドレスを身に着ける姿はまるでフランス人形の様。
: 海底都市第22区、忘れ去られた廃棄地区のビルをまるごと一つ買い取りゴシック調の空間に変えて暮らす謎の少女。老若男女問わず“お気に入り”達を自分の人形と称し、一人につき一部屋を与え軟禁状態にしている。




    

  • No.646 by 都々  2018-01-28 00:16:35 






PFテンプレ


▼ 世界観その1

名前: 和名のみ( 読み )
年齢: 18歳以上
性別: 
容姿: 現実的な容姿のみ
性格: 
備考: 過去に関する記述不可


▼ 世界観その2

名前: 和名禁止
年齢: 不問
性別: 
容姿: 非現実的な容姿可
性格: 
備考: 顔を覆う面について、形やデザインの希望があれば。( 記載して頂ければ後々提供Cからご希望の面を贈らせて頂きます。 )


▼ 世界観その3

名前: 国籍不問
年齢: 不問
性別: 
容姿: 現実的な容姿のみ
性格: 
備考: 




   

  • No.647 by 都々  2018-01-28 16:43:08 






遂に立ててしまった‥!不備があるような気がしてならない。




   

  • No.648 by 都々  2018-02-09 19:24:29 





(  テスト  )


 決まりごと ‥‥‥‥‥‥‥ >01     
 参加するには ‥‥‥‥‥‥ >02     
 設定選択 ‥‥‥‥‥‥‥‥ >10 




   

  • No.649 by 都々  2018-02-09 19:25:13 






 (  テスト  )   


 決まりごと ‥‥‥‥‥‥ >01     
 参加するには ‥‥‥‥‥ >02     
 設定選択 ‥‥‥‥‥‥‥ >10 




   

  • No.650 by 都々  2018-02-09 19:26:32 






(  テスト  )

 決まりごと ‥‥‥‥‥‥‥ >01
 参加するには ‥‥‥‥‥‥ >02
 設定選択 ‥‥‥‥‥‥‥‥ >10




   

  • No.651 by 都々  2018-02-09 19:27:40 






謎改行の原因が判明。直って良かった。




    

  • No.652 by 都々  2018-02-18 18:05:13 






久々に上げ。それにしても時間が取れないなあ。




    

  • No.653 by 都々  2018-02-24 19:25:16 






何だか今、これまでにないくらい何も書けない。お返事も書けないし、気分転換に何かを書く気分にもなれない。もしかするとこのまま作ったトピにもいけないかもしれない状況。いくら趣味の一環とはいえ、待ってくださってる方に申し訳ない‥。 




    

  • No.654 by 都々  2018-04-16 22:28:40 







気付けば新年度が始まってた。ここに来るのも久しぶりだな。





    

  • No.655 by 都々  2018-04-16 22:30:07 







もう2ヶ月以上?何も書いてない。絶対文章力がとんでもないことになってる‥。





   

  • No.656 by 都々  2018-05-15 22:40:59 







わたしが憧れた彼はとんでもない人だったのだと、改めて思い知らされる。彼の言葉一つ一つに、痛いほど、どうしようもなく惹きつけられた。





  

  • No.657 by 都々  2018-06-03 17:03:41 






Detroit: Become Human 一周目、漸くクリア。カーラとマーカスは納得できるエンドだったけど、コナーだけ心残りなエンドを迎えてしまった‥。二周目突入したいのと、素晴らしい作品に出会えたことで燻る創作欲を撒き散らしたいのとで板挟み状態。休日だけ48時間あれば良いのにな、とか小学生と同じ事を考え始めてる。




     

  • No.658 by 都々  2018-06-08 23:12:12 






 一面に広がる青と白。凪いだ風が水面を揺らし、足をつけているその場所が空の中ではなく風景を逆さまに映し出す水の中だと教えてくれる。足首まで浸かっているそこは酷く柔らかく、冷たいような感覚は確かにあるものの素足が冷えていくことはなかった。
 ここはどこだろう。見渡す限りの空の色は己以外の影を水面に落とすことなくどこまでも続いている。ぐるりと辺りを見渡した後、ふと目線を下に落とすと足の下に線路が引かれていることに気付く。

 ────電車。何かの記憶が頭を掠めた気がしたが、一瞬後には全ての思考が掻き消えていた。

 視線を前方に戻す。先程まで何もなかったはずのその場所に、駅が建っていた。短いホーム、古びたベンチ、駅舎すらない無人の小さな駅。不思議と驚きはなかった。どこかそれが当然のようにすら思えた。右手の中に違和感を感じる。いつから握り締めていたのか、開いた手の中には切符が一枚。ぼんやりとそれを見つめ、導かれるようにホームに立つ。
 永遠に続くかと思われた静寂の中に人工的な音が加わる。水の中に一本引かれた線路を追っていくと、遠くから電車がやってくるのが見えた。ああ、己はこれに乗るのだと、何故だかそれを初めから知っていた。この切符が行きしか使えないこと、帰りの切符は二度と買えないことも。
 目の前で一両のみの電車が止まる。音を立てながら開く扉に一度大きく息を吸い込み、緩やかにそれを吐き出しながら足を踏み出した。

 少しの切なさと幸福感に満たされる中、そういえばと体を反転させる。同時に扉が閉まり、晴れ渡っていた筈の外は暗闇に包まれていて駅を見ることすら叶いそうになかった。抱いた疑問に対する答えは得られなかったが、大したことではないだろう。ここにはもう戻らないのだから。


 右手に持っていた筈の切符はいつの間にか何処かへ消えてしまっていた。眠気はなかったが、少しずつ視界が黒に染まっていく。──あの駅は、何という名前だったのだろう。




     

  • No.659 by 都々  2018-06-11 00:55:54 






 ひたひたと響く静かな足音、小さな衣擦れの音さえやけにはっきりと耳に届く。辺りは朝霧に包まれ、数メートル先の景色は薄ぼんやりと霞んでいる。しかし多くの古びた建造物に囲まれている事は確かなようで、無事目的地へ辿り着けたのだと一先ず安堵した。

 朝霧の街と呼ばれるこの場所は、その名の通り霧に覆われた旧都市だ。所狭しと建ち並ぶ建造物は大きく崩れてはいないものの彼方此方で老朽化が進み、汚れや巻き付く蔦、部分的な崩壊が目立つ。街全体が廃墟と化したここでは人気がないどころか生き物の気配一つ感じられない。マンションのベランダに引っ掛けられたままの洗濯物が、ほんの僅かな人の名残りを置き去りにしていた。
 大通りらしき場所に出たところで腰のベルトから地図を抜き取る。この時代には珍しい紙媒体のそれを彼は酷く気に入っていた。荷物が増えるだけだろうと呆れる誰かの顔が浮かんでは消え、ゆるりと頭を振り動かす。地図を広げるたび指に伝わる紙の感触、自分自身で場所を探っていく高揚感、この良さがわからないなんて何と勿体無いことだろう。広げた地図はそのままに、腕に取り付けたバングル型端末で時刻と位置情報を確認し、地図上に書き込んだ印と照らし合わせる。──大丈夫、計算通り。方角を再度確かめ一つのビルを目指して歩き出した。

 ──朝霧の街。ここへ出入りする者は幾つかの条件を守らなければならない。一つは日の出と共に霧の中へ入り、街を探すこと。そしてもう一つは霧が消えるまで、つまり朝が終わるまでに街の外へ出ること。どちらか一つでも条件を破れば街に囚われてしまう。二度とここから出られないのだと人伝に聞いた。

 辿り着いたビルは一階部分がカフェだったのだろう。窓硝子が割れ自然の緑が入り込んでも尚、小洒落たテラス席は殆ど原型のまま佇んでいた。その隣の空洞、おそらく扉があったはずの空間を潜り上へと続く階段を上ること数階。そこに何があったのか、それを知る者はきっともうどこにもいない。大きく穴が空いた壁からは剥き出しの鉄骨が不格好に飛び出し、それ以上上の階層はあったのかなかったのか天井部分は綺麗さっぱり失われていた。
 いつ崩れ落ちてもおかしくないそこを迷いなく歩く。床が残っているぎりぎりの場所で足を止めれば肩から斜め掛けにしていた鞄を開け、中から取り出したのは一枚の封筒。白地に薄桃色の花が控えめに描かれたそれには綺麗な字で宛名が書かれている。これもまた今ではもう殆ど見ることがなくなった紙の封筒、それも手書きの文字が書かれた代物である。
 ゆっくりと丁寧に宛名を読み上げる。納得した様子で一度頷けば何を思ったのか胸ポケットにさしていた万年筆を取り出し、何もない空間に文字を書き始めた。するとどうだろう。万年筆が通り過ぎた後には柔らかな光を放つ文字が空中に漂っているではないか。何処へ行くでもなくその場で浮かび続けるそれに封筒を押し付けたかと思えば、そのまま封筒を空に放り投げる。静けさだけを主張していた街に突如舞い込む風。飛ばされそうになる帽子を片手で押さえながら、上空へ舞い上がる手紙が霧に飲まれていく様をただひたすらに目に焼き付けた。


 朝の終わりを背中に感じながら霧の中を歩み、街から遠ざかる。斜め掛けにした鞄の中には未だ多くの思いが詰まっていて、残念ながら休む時間はなさそうだ。帽子を被り直し地図を撫でて次の目的地を思い浮かべる。とある郵便屋さんの一日はまだ始まったばかり。




    

  • No.660 by 都々  2018-06-29 22:21:32 






暫く立ち寄らない内に素晴らしい機能が追加されてて驚きを隠せない。いつの間にやらセイチャットが進化してた。なんやこれ、すごい。( 他のなりきりサイトに現を抜かしてたなんて言えない‥ )




    

[PR]リアルタイムでチャットするなら老舗で安心チャットのチャベリ!
ニックネーム: 又は匿名を選択:

トリップ:

※任意 半角英数8-16文字 下げ
利用規約 掲示板マナー
※トリップに特定の文字列を入力することで、自分だけのIDが表示されます
※必ず利用規約を熟読し、同意した上でご投稿ください
※顔文字など、全角の漢字・ひらがな・カタカナ含まない文章は投稿できません。
※メールアドレスや電話番号などの個人情報や、メル友の募集、出会い目的の投稿はご遠慮ください

[お勧め]初心者さん向けトピック  [ヒント]友達の作り方  [募集]セイチャットを広めよう

他のトピックを探す:個人用・練習用







トピック検索


【 トピックの作成はこちらから 】

カテゴリ


トピック名


ニックネーム

(ニックネームはリストから選択もできます: )

トピック本文

トリップ:

※任意 半角英数8-16文字

※トリップに特定の文字列を入力することで、自分だけのIDが表示されます
※メールアドレスや電話番号などの個人情報や、メル友の募集、出会い目的の投稿はご遠慮ください
利用規約   掲示板マナー





管理人室


キーワードでトピックを探す
初心者 / 小学生 / 中学生 / 高校生 / 部活 / 音楽 / 恋愛 / 小説 / しりとり / 旧セイチャット・旧セイクラブ

「これらのキーワードで検索した結果に、自分が新しく作ったトピックを表示したい」というご要望がありましたら、管理人まで、自分のトピック名と表示させたいキーワード名をご連絡ください。

最近見たトピック