通行人 2015-01-26 14:35:25 |
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>藍くん
…嗚呼、そうだね。
(本の頁を捲る紙の乾いた音に混じり近付いてくる足音は2つ、聞き慣れぬ声と共に己が座しているソファの沈む感覚に本の内容から意識は逸れ気怠そうに視線を上げて。自分のパーソナルスペースに侵入為す見知らぬ人間に怪訝そうに双眸を細めるも刹那の事、何処か性を感じさせぬ彼を眺めながら小さく頷き。相手に続いて現れた看守の姿から、相手も己と同じ境遇なのだろう。「あの檻の中とは比べものにならないくらいは、居心地がいいと思うよ。」看守に聞こえるよう揶揄混じりに毒づいて。)
>三神さん
んー、それは必要ないんだけど。
(他者から行動を監視され何かと非難を受ける生活には嫌気が差している故に、思考を巡らせるような間を置いた後に先程と同じようなからかい混じりの口調で返答。此方を嘲るような言葉ながらも看守が己のような立場の人間とまともに取り合うなど珍しい事である、興味深そうに脚を組み直しソファの肘掛に腕を置いて。次いで紡がれた突拍子の無い言葉に刹那瞠目すると小さく噴き出し、想像の出来ぬ光景に可笑しそうに肩を震わせ笑み。「…っふ、面白い事を言う看守さんだね。」いつの間にか頁を捲る指は止まり表表紙をゆっくりと閉じては呼吸整えるべく小さく吐息を漏らし。)
>那霧さん
…ふうん、あんな人もいるんだ。
(図書館以外の場所へと出歩くのは久方振りだろう、普段ならば片手に書物を抱えて歩いている事が多いものの今片方の手の中にあるのは中央街の市場で売っていた赤く熟れた林檎が1つ。付かず離れずの距離を保ってついて来る看守にはもうすっかり慣れたが、最初の頃は悪戯半分に撒いてやろうと自由奔放に壁の内側を走り回ったものだ。果実を指で撫でながら思い出すように小さく笑むと、不意に視界に入る壁の内側の人間にしては何処か違和感を覚える黒い衣服を全身に纏う男を何となしに眺め。)
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