隻眼のグールとラビット

………
（こちらも相手に気づかれないように携帯をカメラモードにすれば携帯を相手の方に向けてシャッターをきれば相手の執事服姿を写真におさめて。確認すれば保存し

！？
(コーヒーを飲もうかとカップを持ち上げた途端に相手のシャッターを切る音が聞こえて。突然のことに驚いて顔を上げると携帯の画面を見ている相手の姿が視界に入り、「てめぇ…」と相手を見て)

えっ、えっと…どうかしたの…？董香ちゃん
（相手の顔を見ると明らか怒っている様子が目に入ると顔を真っ青にして相手の視線から逃れるように顔を背けると、携帯を後ろに隠すとそう聞いて

今。写真撮っただろ。
(自分の態度におどおどとしたような相手に気がつくも、不機嫌な表情を崩すこともなく相手の座るソファの方へと詰め寄り尋ねて)

き、気のせいじゃないかな……
（ビクビクしながら顔を反らしたまま答えれば不機嫌な顔の相手がこちらに近づいてきたことに気がつき、取りあえず相手から離れる為にソファーの上を後退り、相手から離れて

はぁ？…撮ったよな？
(後退りする相手に気が付き、逃げる気なのかと思わず眉を顰めて相手を見て。相手が逃げられないようにと片手を相手が逃げるであろう進行方向を遮るようにして置いて相手を覗き込み)

うっ……えっと…と、撮り…ました…
（逃げる方向に片手を置かれて覗き込まれれば逃げられないと思い、観念すれば視線を反らしながら恐る恐る言い。「で、でも董香ちゃんも僕の撮ったよね…!?」と相手がしたことを思い出してはそう言い

へぇ…。
(体勢的に相手を睨むようにして見下ろしながら淡白な声色で一言発し。相手の指摘を聞いて一瞬視線が泳ぐものの、「…撮ってねーよ」とすぐにいつもの調子を取り戻し、相手が認めたためソファに置いていた手を静かに離して)

と、董香ちゃん怖いよ…
（未だ睨まれているのが分かるとまだまともに視線を合わせることができず、反らしたまま言い。「えっ!?董香ちゃん撮ってたでしょ…!?」確かに携帯のカメラのシャッター音が聞こえたと言えばチラッと退けられた手を見て

撮ってねーっつの。
(追求の言葉に顔が引き攣りそうになるものの、なんとかいつもの声色で否定し。相手から視線を逸らすと携帯をポケットの中にしまい直して)

………
（相手をじっとしばらく見ているとふぅっと一息吐いて。ま、まぁ…話をそらせれたからいいかな…と思い、相手が自分の写真を撮ったことをそれ以上追求せず

…とりあえずそれ、消しとけよ。
(それ以上の追求がなかったことに内心安堵しながら、相手をジロリと見て付け足し。相手と向かい側のソファに座ると、先程のラテアートを見つめたあと一口飲み)

えっ……
（相手の言葉を聞くと少し驚き、せっかく撮ったのに消さないといけないのかと少しがっかりに思えば、隠していた携帯を目の前に出して携帯をしばらく見つめており

……まぁ、いいや。
(残念そうに見える相手に、自分も本当は撮っているのに嘘をついている罪悪感が内心で相まって。相手から視線を外すとコーヒーを飲んで、「他の人に見せんなよ」と低い声で付け足し)

う、うん…
（相手の言葉を聞いて、そう言えばこの前メイド服の事がバレたんだっけ…と思えば今度はバレないように気を付けようと思い。「あ、董香ちゃんはいつから学校が始まるの？」とそろそろ休みも終わる頃だろうと思い聞いてみて

6日から。金木は？
(相手の問いかけに壁にかけてあったカレンダーへと視線を移して。登校日と書かれた日までの日数を数えてから、大学はいつからなのだろうと疑問になって尋ね)

7日からだよ
（スケジュールを見ながら答えると携帯をしまって。するとあることを思い出して「そう言えば冬休みの時、董香ちゃんの友達に会ったよ？あの子、まだ僕の事を彼氏だと思ってるみたいだね…？」と冬休みの事を思い出したので相手に話し

依子のことか…。違うっつってんだけど思い込んでるみたいなんだよな…。
(相手の話を聞くと、いくら否定してもすっかり彼氏だと思い込んでこちらの話をまともに聞いていない友人の姿を思い出して思わずため息をつき。頬杖をついたまま相手を見ると、「…なんか言ってた？」と問いかけ)

え、いや…特には…。バイトの時の董香ちゃんの事くらいかな…
（ん～っと思い出しながら言えばその当時の事を振り返って。「ご、ごめんね。あの時、出ていかなかったら誤解されずに済んだのに…」と始めて相手の家に行った時の事を言えば謝り

別に…。つーか依子あの時、家上がる予定だったっぽいからどっちにしろ見られたでしょ。
(相手の謝罪を聞くも、別に大したことではないというような口調で返事をし。まだ残っているコーヒーの渦に視線を落としたまま、「私よりも金木のが勝手に勘違いされて迷惑だろ。…悪い」と、早いところ誤解を解こうと決意しながら言い)