▽▲▽▲ 2014-08-18 14:57:42 |
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( 少しは身が軽くなれただろうか、なんて内心。己は少なからず昨日気持ちを切り替えれた気がする。否、切り替えれてはいない。未だ彼女の事は忘れられないし忘れてはいけない。唯、彼女を失った以来心が落ち着いた日は無かったのに。ようやく溜め込んでいた涙を流した相手に安堵すれば双眸細めて。_硬い表情で述べた相手の言葉には此方も表情を曇らせて。先ほど感じた温もりはもう無い、拳を握りしめ暫く無言でいれば再度顔を上げて海を眺め。いつか、大事な人ができて幸せな顔をするようになる日。海を見る度、幸せだった頃の事と残酷なあの日の事を思い出す。大事な人なんて彼女しかいないし、幸せな顔をする事なんて大事な人がいなければ出来ない。「お前こそ、そんな日が来るのか。」海を眺めた侭問われた事を問い返す。自分の事は答える必要が無いと思った、だって俺の大事な人なんて彼奴しかいない。もしも、大事な人が出来るのなら彼女のような人に自分はまた惹かれていくのだろう。上記と共に小首を傾げて相手を見詰めて。"灰谷にはまだ将来がある"いつかそんな事を言った己の教師。あの言葉をずっと拒んで来たが今なら少しくらい夢見てもいいかなって思う。振り切らないと前に進めない事ぐらい分かってる。でも、いつか彼女の事を忘れて幸せになってしまう自分が物凄く恐い。 )
――このままだと来る気しねえけど。姉ちゃんのせいで女を見る目が肥えたかな
( 先程俺が問いかけた質問に対して答える事は無く、逆に同じ質問をぶつけてきた相手。ずるい、なんて一瞬思ったが、それを素直に口に出してしまうと何だか負けたような気がして、俺は一瞬答えを述べるのをためらうも、口を開けば上記を述べて。その際、本気で好きになれる人がなかなかできなかった為、姉に隠れてこそこそ割と異性と遊んでいた経験は伏せておく。姉にも恐らくばれていない、いや黙認されていただけかもしれないけれど、それを彼に打ち明けてしまうのは少し勇気が必要で。そんな事を考えながらまたちらりと彼の方を向くと、ぱちりと視線が絡み合い何だか気まずくなってしまいふっと顔を逸らし。 )
でも俺は、一生姉ちゃんの事……いやなんでもない。とにかく、一生このままでもいいかなって思ったりもしてる
( 彼からの逆質問に回答した直後、何らかの返事を聞く前に上記を述べ。姉ちゃんの事――、その言葉の後に続けて、俺は何と言おうとしたのだろう。しかし今はそれを深く考えるべきではない気がして、俺は小さく頭を振ると一つ息を零し。「このまま。」その言葉には、沢山の意味が込められている。それは決してほめられたものではないし、周りから見れば俺はきっと過去にとらわれ続けている情けない男なのだと思う。だけどどうやったって姉ちゃんを失った俺は、心に開いた穴が塞がるイメージを持つことができなくて、唯瞳を伏せ地面を見つめ続け。 )
( 相手の言葉に思わずふ、と笑みを零して。見る目が肥えた、か。確かにそうかもしれないなー、なんて内心思ったり。相手と視線が合えば直ぐに逸らされ此方も視線を下げつつ小さく苦笑。此奴は姉を好き過ぎて彼女という存在はいなかったのだろうか。然し頭の中で疑問が浮かぶ。"この間ね、弟が女の子と歩いてる所見たんだ-。"此処にいない彼女に聞いた自慢の弟の話。其の時は余り気にしなかったが今になって思い出すとは。疑問な侭其れでも口を閉ざして黙っており。"一生このまま"発した相手言葉に何処と無く胸が痛む。姉を失う辛さは分からない、でも大切な人を失う辛さなら理解できる。其の辛さや悲しみに此奴は一生浸かり続けるのだろうか。彼女は如何思うだろう、彼女が此れを聞いてたら。怒るか、悲しむか。自分には分からない、付き合っていたとしても彼女の思う事感じる事が全て分かるわけじゃない。だって今彼女の表情を見る事ができないから。__気持ちが暗くなってきた、駄目だ俺。そう思えば考えを振り払う様に首を横に振って。「俺は、彼奴の為にも進まねーと。」彼奴の為、なんて綺麗事言ってるけど本当は自分自身の為だ。自嘲を零し結局自分は彼女がいないと弱い人間だと思い知る。其れでも何時か目の前の此奴も前に進める日が来れば良いな、なんて。願ってばかりで手助けなんて出来る自信無いけど。 )
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