矢谷啓 2014-05-13 19:43:45 |
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…どうしたんだろう。
(シャワーを浴びながら思考するのは自分の変化。相手を失いたくないと思う気持ちと比例するように生まれるのは失ってしまった時の喪失感と孤独感。一人になることも傷つく事も慣れているはずの体が小さく痙攣する。もし明日、また一人になるとしたら自分はあの貼り付けた笑みを浮かべることが出来るのだろうか。いつものように悪態をついたり嫌味を言うことが出来るのだろうか。怖い、一人になることが、相手を失うことが。今までは平気だったことが怖く感じる。そう思ってしまうと置いてあったカミソリの刃に手を伸ばしては左腕を傷付けてしまう。滴り落ちる血は赤く、自分がそこに存在していることを物語っていて吐き気がした。排水溝に流れていく血を冷ややかな目で見つめると一回に留まらず、二回三回と切って。そんな時に思い出すのは相手のこと。涙なんてもう出ない、その変わりに出るのは自嘲じみた笑み。ほら、自分はこんなに弱い。血を止めるために冷たいシャワーで手首を濡らしていき、若干止まれば浴室から出て。いつも着ている長袖のロンTとサルエルを履いては鏡にうつる幼い顔の自分の顔が暑さでほんのり赤くなっている。まるで恋をした中学生のようだ。気持ち悪い、こっち見んな。いつかクラスメートに言われた言葉を思い出しては本当にその通りだと。相手の待つリビングに戻れば「ナッティと仲良しですね」と
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