矢谷啓 2014-05-13 19:43:45 |
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オレも啓を守りたい。…何か出来る自信はないけど…どうしても、守りたいんだ…
(涙を手で拭いながら述べるその言葉は決して嘘ではなく、本心から来るもので、相手を数々のことから守りたいと思うのはこれ以上傷付く相手を見たくないから。相手だって辛かったはずだ。家族に関わらず、友人、学校から拒絶されてたのではないのだろうか。自分と同じように、幼い頃から自分を否定されることを知り、それがどれほど残酷で人の性格を歪ませるかを悟っていたのではないのだろうか。それぞれ家族に見放され、友人や学校から迫害されてずっと孤独を生きてきた。そんな中で相手は彼女に出逢い、自分は相手と出逢った。相手と出逢えたのなら、自分のこんな下らなくて陳腐な人生も悪くないな、なんて考えてしまって。「オレは何も…啓のがオレに色々くれて、本当、感謝してる…ありがとう」先程の行為で自分と相手の体温がいつも以上に近く感じる。握った手が痛々しいほど可憐に見え、強く握れば折れてしまうんじゃないかとさえ思った。出血のしすぎで頭がクラクラして吐き気がするが、それを相手と共有してると思うとそんなものでさえ愛しく感じてしまって。一緒に生きる、と言葉で言うのは簡単だが、その裏には痛みも辛さも悲しみも幸せも全部共有すること。相手のために自分自身を捨ててもいいという覚悟がないと一緒に生きることは難しい。それほどの勇気と決意、愛情があるから一緒に生きよう、と自分は相手に言ったのだ。「…うん、わかった…オレも啓と一緒なら辛くないよ。啓に自分のことあげられる。全然怖くない。」相手のため、と言いながら自分を傷付る相手を止めるのはただ自分のエゴになってしまう。ならば同じ痛みを共有するほうが愛だろう。自分は相手の為なら傷付くのも世間から後ろ指指されるのも全く怖くなくて。「精神科のカウンセリングなんてマニュアル通りのことをいかにも心配してますって顔で言ってるだけなんだよ…オレだって啓と会えなくなったらって考えただけで吐き気がする、可笑しいのかな?…どっちにしろオレら二人とも学校に行ける状態じゃないし、行っても貧血に悩まされる…二人きりになりたいね…」精神科の偉そうな爺さん婆さんの話なんて耳をすり抜けるだけ、自分はそんな言葉に騙されるほどヤワではないし、相手に対する愛情は深い。会えないだなんて考えたくもない。考えただけで吐き気と悪寒がして情緒不安定になりそうで。相手の体温に身を委ねながら自分の感覚のない手を相手にまわして自分も抱き締めて。そして、まるで自分と相手の存在を確かめるよう口付けて
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