矢谷啓 2014-05-13 19:43:45 |
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啓、啓…愛してるよ、大好きだよ…
(自分がやけに子供に見え、相手の諭すような話し方が少し兄と重なる。元から出来の良かった兄、母から大き過ぎる程の期待と愛情を受けて自分とは正反対で社交的。責任感や協調性も兼ね備えていて、その性格が故に自分の首を絞めてしまい、最後には死を選んだ。あっけないと感じた兄の死、学生だった自分は冷ややかな目で煙になる兄を見送った。肩書きも地位も、死んでしまえば意味を持たなくなる。自分のことを嫌い、目が合えば口論になり、諭すように自分の悪癖を叱る。父にも母にも叱られたことなどなかった、むしろ父は物心つく前にはもう居なくて、そんな環境の中で兄だけは自分を怒ったのだ。本当は頭を撫でながら何か一つでも褒めて欲しかったし認めて欲しかった。そんな兄と相手が同じに見えるが、根本的に違うものは相手が自分のことを愛してくれていること。「謝らないで…一緒に生きよう…オレ、啓が居ないとダメだよ…生きたい…」と言いながら相手の存在を確かめるように手を握って。脇腹の処置も終われば見様見真似でやる相手に任せてみようかと思って、「病院行ったら精神科送りだよ…何か適当な言い訳もないし…縫ったりするほど深いわけじゃないから…」と。床に散るどちらのものかわからない血も拭かなくては、相手と相手の彼女が愛し合った空間自分の淀んだ血なんかがあってはいけないのだから
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