矢谷啓 2014-05-13 19:43:45 |
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俺も、笑のためなら…笑のために死にたい。…えみが欲しい
(自分のために死を受け入れるという相手の言葉は心に染み幸せを感じるのに、手を握られ、必死で止めようとするのに自分の中の狂気が再びうずきはじめる。握られた手が相手の首元に移動していくのを止めろと叫びたいのに呼吸が乱れて声にならず短い息が空気を切るだけで。絞めることを肯定する言葉には全身が凍り付き吐き気がするのに、自分でない己がその言葉を待っていたかのようにほくそ笑む。「えみ、駄目だよ。そんなこと、言ったら。また、止められなくなる」歯切れの悪い震えた声は徐々に低くなり瞳からは光が失われていくが口元には薄らと笑みが浮かんでおり、冷たい首元にかけられた震える手が心の何かと葛藤するようにピクリと跳ねる。さっきまで相手が苦しむことも自分の手で痛めつけることも望んでいなく、純粋に明るく笑顔の絶えない未来を思い描いていたはずなのに、相手が己を認めただけでいとも簡単に狂気が露わになる。「笑、おれを愛して…おれだけを見て」無機質な声で耳元に冷たく囁き相手を堅い床に押さえつけながら優しく深く唇に口付け自然ともう片方の手も相手の首元に伸びていけば親指を喉元にゆっくりと沈めていく。「えみ、気持ちいい」あの平らな口調で問いかけると答える間を与えず再び唇を奪い相手の口内をねっとりと犯していく。表情は冷ややかさと穏やかさが相まってどこか落ち着きがあるが首元の手は以前と震えが止まらずそれ以上力を入れることを拒んでいるようで。普通なら嬉しくて幸せなはずの照れた相手の仕草も、楽しかったはずの話題も純粋に受け取れず「大丈夫、おれが笑の全部を愛して上げる。馬鹿でアホで間抜けな笑も、おれ以外何も考えられなくなってそのまま死にたくなるくらい愛してあげる。えみ、おれのこと好き?」クスリと不敵に笑うと震えが収まりつつある手で艶めかしく相手の髪を撫で、再び首元にある手に僅かに力がこもりそのまま呼吸することを制するように口付け、堅い床に相手を押し付けることを厭わず幾度もそれを繰り返して
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