矢谷啓 2014-05-13 19:43:45 |
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え?声洩れないようにキスしててよ。
(声を抑えられる自信はないが、余裕げな顔でそう述べてみる。実際その場になったら幸せ過ぎて泣いてしまうかもしれない、痛みなんて感じないほど相手が幸福感で満たしてくれる確信はあってそれを言いはしないがただ相手を信じているのは本当のこと、だから自分のことも信じてくれてると。「オレは元々生徒に人気無かったけど、啓は女子に人気だからそうした方がいいかもね」先程の話もあり、相手が気付いてないだけで相当な女子生徒から人気なのではないだろうか。しかし、今自分達なら狂おしいほどの愛情と二人にしか理解出来ない信頼感や絆と呼べるものがある。愛してるなんて言葉じゃ足りない、小説で使われるこの言葉に共感してしまうほど相手を愛してるのだ、狂気でもなんでもいい、相手が自分さえ見てくれればそれでいい。泣いている、相手が泣いてる。哀しいの、辛いの、何処か痛いの、そう問い掛けたくても声が出なくて、それでも何故か温かい波であることは理解できる。それはきっと自分が何かを言ったことが相手に影響を与えたのだろうと感じると嬉しくて涙が出そうになるが、今は相手を癒すことが最優先。「啓…オレも愛してる。オレを愛してくれてありがとう、オレに愛を教えてくれてありがとう。大好き、愛してる」こんな時に限って何もいいことが言えない。いつも言えてないのだろうけど、それなりに相手を落ち着かせたくて何かを伝えたいのにそれは愛の言葉に全部変わってしまって。家族なんて昔から自分には存在しない架空のもので、兄も母も自分を見捨てた父もあの母の彼氏も、全部そうゆう役柄で自分の人生の為の出演者という感覚しかなかった。だけど相手と出会ってから、無理なことはわかってるが、家族になりたい、なんて思ってしまって。「うん、愛してるよ。愛してる…ずっと…泣いてもいいんだよ、オレが支えるから…ねぇ、オレと、家族になろう?」堪えられずに発した言葉と一緒に笑顔を零し、相手は迷惑なのかもしれない、だなんてマイナスなことを考えてしまい。
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