ヌシ 2013-10-31 00:02:56 |
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──嗚呼、…これは、ちゃんと伝わったみたいですね。(座席仕切りと扉の角に追いやられた彼の頭上からぽつりと呟く。じーっと観察していると、どうやら今度は伝わってしまったようだ。少し嬉しいような、恥ずかしいような、残念なような…。これは、もう聞くしかないよな。自分の言動にこんなに頬を染めて、しかもそれを隠すように手で覆っている姿を見てしまったらもう決まっている。「えーっと、いいとこ勤めのサラリーマンのお兄さん。良かったら、名前教えてください。」と抑揚をつけて出来るだけ穏やかな口調でお願いしてみる。こういうのを下心って言うんだろうな。これじゃ本当に痴漢と一緒だな。初めてこんな出会い方をした。ちょっと気になる年上の男の人。たまに電車で会って話しぐらいはしてくれるかな。なんて浮ついた考えをしているあたりが何とも学生らしい。そんな自分は彼の目にはどのように映るのだろうか。それも聞いてみたい。だが、考えただけでも怖いな。)
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