士郎 2011-11-27 13:26:37 |
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「・・・シロウ・・」
声がする。
どこから聞こえてきたのか、ここは何所なのかわからない。
「・・シロウ・・」
声がする。
まるで上下左右がぐちゃぐちゃだ。
「シロウ!!
起きなさいシロウ」
懐かしい声だ。
私の姉の、切嗣の実の娘である人の声。
「いい加減起きなさーーい!!!!!」
「うわぁぁ!!
な、なんだ!?」
飛び起きる。
いや、飛び起きるというのは間違いだ。
なぜならここには、上も下もないのだから。
「イ、イリヤ。どうして・・」
「こんにちわシロウ。
また会えて嬉しいわ」
「で、でもどうして。
聖杯の器になったのは慎二で・・・いや、そもそもなんで慎二が聖杯の器に・・・」
「シロウ。色々考えたいだろうけど時間がないの。
落ち着いて私の話を聞きなさい」
「む・・」
色々聞きたいとこではあるが一人で足掻くよりはいいだろう。
「わかった。話してくれ、イリヤ」
「うん、実はね--------」
イリヤの話で大体の事はわかった。
どうやらここはイリヤの心臓らしい
イリヤは普通の人と違ってホムンクルスということは知っていたけど、
脳のような役割まで心臓に埋め込むとは、アハト翁もやるものだ。
「じゃあ、俺はせいは・・イリヤの中ってことか?」
「うん、呑み込みが早くて助かるわ」
良かった。
最初イリヤがもう生きていないと聞いた時はショックだったけど
イリヤはイリヤだ。
と、イリヤが真面目な顔になった。
「シロウ。貴方は答えを得たのよね?
でも”英霊の座”に帰れば記憶は記録に成り果てる。
貴方は、この”記憶”を残したい?」
「イリヤ?」
イリヤは何を言ってるのだろうか。この記憶を持ったままでいられるというのか。
不可能だ。いくらイリヤが聖杯だろうと“座”に行けば記憶は失われる。
そんなことは世界が許さない。もし出来るとするなら“座”に帰らない方法でしか・・・
「うん。シロウの考えてる通りだよ。だから私が貴方を他の世界に飛ばすの」
「他の世界に、飛ばす?イリヤ、それは無理だ。聖杯ほどの魔力があれば可能かもしれんがそんな魔力は」
「ううん、あるの。リンが聖杯を破壊したときにエクスカリバーの威力が弱かったんでしょうね。
士郎の固有結界を作ったときに思いのほか魔力を取られたんでしょう。
エクスカリバーに魔力が乗らず少しだけ孔が開いてるの。魔力が通るかわからない、
ギリギリの孔。だから一時的に私の魔力で孔を広げて魔力を引っ張り出すの。
呪いも私の魔力で相殺させて純粋なモノにするわ。
それで貴方を異世界へと送り出す。出来れば平行世界にしたいけど、
こればっかりは博打ね。シロウ、もう一度問うわ。
貴方は----ここで得た答えを残したい?」
真剣な目。絶対に成功させるという自信。
----まったく、敵わないな。姉さんには。
「ああ、俺は折角答えを得たんだ。このまま大人しく世界には戻らないよ」
そう、ハッキリと口にした。
すると満面の笑みでシロウならそういうち思ってた♪、と言った。
「ふふ、準備は出来てるわ。早速行くけど、いいわね?」
「ああ、勿論だ」
そしてイリヤが聖杯から魔力を持ってきたとき、
「こういうのは好きじゃないけど、いいよね。
“ああ、安心した”」
それを最後にエミヤシロウの意識は途絶えた。
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