匿名さん 2024-01-18 21:20:33 |
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鮫島旭
「………そこまで、しなくていいっての。」
(ふと─視界がぐらり、と揺れてベッドの上に押し倒され、目の前には七海(仮)の顔があった。口移し、と宣う言葉に眉を顰めながら首を横に振り、力は入らないながらにその顔を押し退けようとしたが─酒の所為で脱力した手では大した抵抗にもならない。過ぎた眠気と過ぎた深酒のダブルパンチを食らって禄に回らない頭では七海(仮)の発した言葉の意味を飲み込むのも、行動を止めるのも何一つ間に合わなかった。─だが七海(仮)なら、口移しされても然程抵抗はない。お互いに酔っぱらいのやることだ、と水に流せる。「……ん…でも、けんとなら…べつに、いいか。…ほら、のませろ。」─あの発言は今思い出すだけでも、無性に穴があったら入りたいような気分に陥った。あ、と声を漏らしながら小さく口を開き、親から餌をもらう雛鳥のように─水が入ってくるのをぼんやりと待っていて。)
五条悟
「…ねえ。」
(彼女の言葉に─ちくり、と胸の奥に針が刺さったような感覚を再び覚えた。─今なら分かる。この気持ちは─悲しい、だ。思わず彼女の手をきゅ、と控え目に握り、小さく首を傾げてみせる。「恋人のフリ、じゃなくてさ。…僕のこと、本当に彩莉菜の恋人にしてくれない?」逃げ道を作るように声色だけは冗談めかして、だが瞳の奥には一切笑っていない─真剣な色を宿して、彼女にそう問い掛けて。)
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