一見さん 2023-12-23 17:33:22 |
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〈倉木真澄〉
「…おやすみ。」
(お返し、と言わんばかりに─彼の額へ軽く唇を落としてやり、彼らが寝入ったのを見届ける。それと同時にくあ、と大きな欠伸が一つ、半ば意識を失うようにして─青灰色の瞳を静かに閉じた。─普段ならば見る悪夢も、心の底に閉じ込められたかのように、その欠片すら見えない─驚く程静かな微睡みに身を任せ、彼らの心地好い体温に包まれながら─意識を手放す。─そして翌朝。「……ん、」倉木の長い睫毛が僅かに震え、ゆっくりと瞳が開く─視界の端に、自身の瞳と同じ色をしたタンザナイトがきらりと光るのが見えた。サイドテーブルの携帯に手を伸ばし、時間を確認する。普段の癖で随分と早朝に起きてしまったらしく、両隣で眠る彼らは─まだ穏やかな寝息を立てていた。ベッドから降りて朝食を作りたいところだが、それで彼らを起こしてしまうのも忍びない─仕方無しに気配を消してベッドから降り、音を立てぬように服を着てキッチンへと向かった。人数分のコーヒーを淹れ、五条の分には水面が茶色くなる程にミルクとシュガーを足しておく。そして次にベーコンと卵、チーズを挟んだハイカロリーなトーストを焼いた。凝り固まった体を伸ばしながら─トーストが焼けるのを待つ。)
──
〈五条悟〉
「……コーラ。」
(五条は何やら嬉しそうな彼女の様子に機嫌を良くしたのか、普段は見せない優しげな笑みを浮かべていた。彼女の問い掛けに答える声も、心做しか弾んでいる。)
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