一見さん 2023-12-23 17:33:22 |
通報 |
〈倉木真澄〉
「……ん。5年程前だけど…まだ少し、ね。」
(口から漏れた声は上手く誤魔化したつもりだったが、彼から痛いのか、と声を掛けられ─少し物憂げな雰囲気を纏った笑みを浮かべた。気遣いへの感謝の意図を込め、水分をできるだけ飛ばした手で彼の頭を撫でてやる。先程よりも口元へ近付いてきた彼の項に軽く唇を落とし、自身でもその傷へと手を触れた。─縫合手術によって周辺の皮膚は縮んで引き攣れ、指先が傷口の隙間に入る程に傷痕は深い。傷痕を指先でなぞるとズキリ、と疼くような痛みが微かに走った。後ろから抱き締めてくる五条の指も傷痕をなぞり、肩口から覗く空色の瞳がじっと傷痕を見つめている。心配させたか、と思ってその頭を撫でてやれば─再び頭を擦り寄せてきた。少しの沈黙の後、「……変な空気にして悪かったね…ほら、続けて?」と二人へ優しく微笑みかける。)
──
〈五条悟〉
「……ん。」
(五条本人も言っておいて照れているのか、若干顔を赤くしながら頷いた。誤魔化すようにパンケーキを切り、口に運ぶ。)
トピック検索 |