一見さん 2023-12-23 17:33:22 |
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〈倉木真澄〉
「……っ、」
(前を洗う彼の手が胸元の傷を掠める度、傷の辺りに僅かながら─灼けるような痛みが走り、思わず小さく声を漏らして眉を顰める。─他の術師のように反転術式で治療されたものでは無く、一般人と同じく病院で手術を受けて縫合され、皮膚が引き攣れたその傷─そう言えばこれはいつの傷だったか、などとふと思った。昔"狩り"をしている時に─見ず知らずの女に切られたことは覚えているのだが、その女の顔は上手く思い出せない。そんなことを考えて暫しぼんやりしていた時。「手じゃ洗いにくいから、身体で洗うね?」と後ろから、少々理解に苦しむ五条の声が聞こえるのと同時に─背後からぎゅう、と抱き着かれた感覚がした。擦り付けられる皮膚同士が、ボディーソープの泡でするりと滑り─擽ったさの中にも奇妙な快感が生まれる。それから少し経ち、コレは身体を洗うと言うより、一種のプレイじゃないか─と思い始めたところで、正面に据え付けられた鏡に映る自身と目線が噛み合った。胸元の古傷を初めとした─今生きているのが不思議な程に深い傷が所々に刻み込まれている、色白の華奢な身体に─湿気で額に張り付いた黒髪。そのまま目線を下げれば、自身の前を洗う彼の項が見える。)
──
〈五条悟〉
「…別にしなくてよくね?…そのままでも、その…」
(五条は行儀悪くスプーンを口に咥えたまま、眼の前でパフェを食べる彼女をまじまじと見つめた。一旦言葉が途切れ、少しの間を置いて「…可愛い、んだしさ。」と呟く。)
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