鬼の哭く夜（〆)

すごい迫力だ、あぁなってしまうのも仕方がない
（切り掛かってきた相手の攻撃を防ぐことに精一杯な新兵を何故か微笑ましそうに見ながら相手の太刀筋を観察しながら大福を食べてしまい、伸びをしてからその太刀の美しさを観察して）

…もう終わりか。
（浅木の振り下ろした軍刀が新兵の持っていた軍刀を跳ね飛ばし、飛んだ軍刀が地面に刺さった所で浅木の軍刀が新兵の喉元に突きつけられる。「…筋は悪くない。これからも励め」言葉少なではあったが笑い、軍刀を一旦鞘に納めると「…次！」と新兵たちを捌いていき）

おぉ、矢張り綺麗に飛ばしますね。さすが澪です。お腹もいっぱいになったので澪さえ良ければ一戦どうです？
（拍手をして次から次へと捌く相手に感心するように頷きながらあらかた捌き終えた相手の方へ近付いてから微笑み、無理がないなら先ほどは流してばかりだったが軽く一戦したいと考えて）

…そうですね。
（少しばかり考え込むように顎に手を当てた後、軍刀を一度払うと構え、「…是非お相手願いましょうか。新兵よりは骨がありそうです。」鋭い眼差しを投げかけて）

お手柔らかにお願いね
（鋭い眼差しに柔らかい笑みを浮かべると軍刀を抜き同じように構えながら今度は自分から距離を素早く縮めてから最初とは打って変わって真剣な表情になり）

…ご冗談を。
（軍刀を逆手に持ち替えるとルカの軍刀を弾き返し、好戦的な笑みのまま斬りかかっていく姿を見た新兵たちは口々に「…正に日の元の鬼…！」「賓客殿も大したものだ！」と二人の手合わせを眺めていて）

判断力がとても素晴らしいし、とても機敏な動きだね
（弾き返されたものの即座に体勢を直し、切り掛かって来る刀を弾き返しながら周りの声に一瞬クスッと笑いながらも隙は見せずに応戦し）

……お褒めいただき光栄です。
(斬り合っている最中だと云うのに何の気もないように答えると奇妙な構え方に変えて雄叫びと共に軍刀を振り下ろし、防ぐルカの軍刀に体重を載せて勢い良く沈み込ませて)

っ……あー降参！さすが強いね
（初めて見る構えや雄叫びに少し目を見開きながら防いだものの重く、実際ならもちろん今以上に力を出したり足を使ったり銃を使うが剣だけの鍛錬なため降参し、笑顔に戻り軍刀を収めると手首を軽く振り）

……これは…薩摩示現流、と言います。
(軍刀を鞘に納めると鞘に納まったままの軍刀で先程の構えを取り、「…薩摩の初太刀は外せ。そう言わしめた流派で…本来は禁出の流派なのですが上官に薩摩の人間がいまして、教えていただいたのです。」と小声で語って)

なるほど、流派ってやつですね。興味深い…もう一度見せてください
（小声の相手に相槌を打ち、初めて聞く名前だがなんとなく理解できて少し目を輝かせながらもう一度見たいと同じく小声で強請って）

…ええ。
（頷くと再び示現流の構えを取りかけたところで、山上中将が顔を見せると「浅木少尉！賓客殿を来賓部屋にご案内して差し上げろ！」と声を掛ける。浅木は頷いて軍刀を腰に戻し、「…お部屋をご案内致します。着いてきてください」踵を返すと先を歩き始め）

残念です、また今度見せてくださいね
（少し肩を下げ、見るからに残念そうにしながら先を歩く相手について行きながらどんな部屋だろうかと思いながら「あのびょうぶ、と言われるものすごく美しいデザインだね」などと話しかけて）

……こちらがお部屋です。
(一つの部屋の前で足を止め、扉を開くとそこにはベッド、壁には油絵の掛かった洋風のゲストルームがあった。「……海外の方ですから、こちらのほうが落ち着くだろうと。」部屋の中へルカを促すと踵を返し、立ち去ろうとして)

ありがとうございます、澪はこのあと予定があるの？
（部屋の中に入ると嬉しそうに微笑んでから、立ち去ろうとする相手を引き止めるようにそう問い掛けると部屋に置いてあるティーポットと荷物の中に入れて来た紅茶の茶葉やお菓子を見せ「案内のお礼によければ一緒にティータイムにしません？」と言って用意しようとして）

……寅の刻まで暫しの休憩です。
(物珍しげに紅茶に目を注ぐと時計に目を遣り、自分に言い聞かせるように呟く。部屋に置かれた一組の椅子に腰掛け、軍刀を側に下ろして)

ありがとう、甘いもの好き？クッキーあるんだけど
（物珍しそうに見ている様子に少し口角を上げると椅子に座る相手に紅茶をティーカップに注ぎ、箱を開けると色とりどりのクッキーを見せて。同じように軍刀を側に置き直すとお皿に数枚出して）

…甘味は、好きですよ。
（表情は変わらないままであったが、はっきりとした声でそう言い）

いいね、それなら今度美味しいスイーツ食べに行かない？日本の甘いものも食べたいから
（頷いてから出来た紅茶とお皿に乗せたクッキーを机に置くと向かいに座って笑顔で提案して）

…それならば、馴染みの甘味処があります。
（恐る恐るというようにクッキーに手を伸ばすと齧り始め、一枚食べ終わったところでルカの声に反応して口を開き）