刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 朝届いたミラーからのメールに返事をする事はなかった。それだけの気力もなく、目眩の所為で長く画面を見ている事も出来ずに。---休職、療養、入院______そういった言葉を幾度彼の口から聞いただろう。変わらず優しく微笑む相手でさえ、報道の事は知っている筈だ。休職も入院も、結局はその場凌ぎにしかならず、その時身体を休めても何かが変わる訳ではなく根治には至らない。「……12年経っても、何も変わらない。」とだけ独り言のように言葉を紡ぎ。体調が悪くても素直に身体を休める事を受け入れられないのは歪んだ贖罪の形______身体の事を顧みず仕事にのめり込み、いつか自分が壊れてしまう事を心の何処かで望んでいるからなのだろうか。“ルーカスとセシリアさんはもっと苦しかった“という言葉は心に突き刺さったままだった。入院を促す言葉には黙り込んだままだったものの「……外出の許可が欲しい、」とひと言。意識には僅かに靄が掛かったような状態で、正常な思考とは言えない。今の状態で1人で出歩く事は愚か、車を運転する事など不可能に近かったが妹の墓参りに行かなければならないと思ったのだ。 )
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