＊spectacle＊ （〆）

何かを見聞きする際にどうしても、疑念抱くことからアプローチをしてしまう…悪い癖ですね。もう少し素直になろうと思います。

そうでしょうか…貴方の助言で救われているのですよ。
ふふ、良かった。これからも頼らせて頂きますね。

（只今、自分の家と逆方向に歩いているが、無論口には出しておらず。此処で別れの挨拶をして引き返すのは、名残惜しいような気がしたので、防犯上の観点から口実を作ることに決めて）

…最近この辺りは物騒ですからね、何なら貴方の家まで見送りますよ。

まぁ機関とやらに所属してる以上、そんな癖がついてもそれは仕方ないことだと思うぞ。ついでにお前は真面目ときたもんだ。なかなか直そうと思っても治らんだろうよ。

頼るのは構わんが俺に出来ることは知れてるからな。長門なら色んなことが何とかなるかも知れんが…まぁ長門に頼るのは余程のことが起きた場合だけどな。

（相手の環境と性格が相俟ってそうなったであろう相手の言動はもう癖として染み付いているようで。何かしらと頼れる同級生の少女だが、彼女しか出来ないこととなる場合はかなりの急を要する場合が多く）

そんな女みたいな扱いはいらん。男の俺が変質者に襲われるわけでもあるまいに…。通り魔とかならわからんが。

確かに、自分の身を守れるほどの力量はお持ちでしょう。
閉鎖空間から、涼宮さんを連れて無事帰還できるほどでしたから。あの時は感心しましたよ。

機関には様々な考えを持つ構成員がおり、中には彼女の能力を明かそうとする強硬派も存在するのですよ。
ですから、貴方が狙われる可能性も十分にあり得る…いえ失敬。

これは、今し方思い付いた言い訳です。要は、名残惜しいな…と。

（遠回しに貴方ともう少し一緒に過ごしたい、という本音を代弁しているかのようで、心やましくなって苦笑いをし）

でも閉鎖空間でならお前も超能力者だろうよ。長門程の人はなかなかいないだろうけどな。

まぁ俺はともかく長門の場合は強行したところで敵うのやら…。長門が大人しく機関の命令に従う姿が俺には想像出来んが。

…折角、家まで来るんだ。茶くらい出してやるから上がってけ。流石に家まで来てただで返すわけにもいかんだろ。

（相手の言葉に短く溜め息を付いて少し逡巡した後、口を開き。家まで送るというのが口実ならばそこでさよなら、と別れてしまうのはあまりにもあっさりし過ぎな気がして）

長門さんが一体裏で何を考えているのか知りたいのも山々ですが、脳内を覗くことは不可能ですからね…。おそらく世界の改変を食い止めるという点で、僕らと同じ立場だと思いますが。

おや？嬉しいですね、お気遣いありがとうございます。

（察しが良い彼には、自身の心境がお見通しだな、と思って溜飲が下がり）

まぁ長門の目的は俺も聞いたが何を考えているかは俺にもわからん。長門は普通の人間とは違うからな。

お前は俺が友人に家まで来てもらっても茶も出さん人間に見えるのか？

（そういうつもりで言った言葉ではないことはわかっているものの、じとりと相手を疑うような目で見遣り）

いえいえ。まさか僕が、貴方に対してそんなことを思っているわけがないでしょう…？
ええと…先程は言葉不足でしたね、すみません。

（疑いの眼差しを向けられたので、思わずきょとんとした表情を浮かべ。彼に対して不実な言い方であった気がして、焦燥して訂正し）

馬鹿、冗談だ。まあ茶を出す以外、大したもてなしも出来んが…それでも良ければ上がってけばいい。妹も友人の家に行ったりしてなければもう帰ってると思うしな。

（相手の予想通りの反応に思わず吹き出し。のんびりと歩きながらいつもの様子と変わりなく言葉を紡ぎ。相手も普段と何ら変わりない。この調子なら彼女にこの「関係」が気付かれる心配もなく）

冗談だったのですか？…ふふ、少し驚きましたよ。
では…お言葉に甘えて、貴方の家にお邪魔しますね。

（彼が吹き出す様子を見て、つられて笑ってしまい。想い人と談笑し、心安らぐ時間が何よりも好きだ、と実感して。ふと空を仰げば、日が暮れてオレンジ色の空が、段々と群青色へと変わってゆくのが分かり）

俺だってたまには冗談の１つや２つ言うさ。
まぁ何もない家だけどな。シャミセンはいるけど。

（あまり団員として関わっていた時は、冗談を言い合うことも少なかった気がする。と言うのも相手は真面目で優等生扱いの人物な上、最初の内は得体の知れない転校生という認識が強く。何故、SOS団に入団したのかもわからなかったが、それはハルヒの観察や監視の意味合いだった訳で。空を仰ぐ相手に倣うように空を見上げ色が変わっていく空にノルスタジーを感じ）

妹さんやシャミセンと再会できますね。楽しみです。
…確か、貴方の家はこの辺りでしたっけ？…ふふ、訪問するのは久しぶりですね。

（以前に比べてより親しい関係になれたので、内心嬉しくなって。世界でも稀に見る『超能力者』の立場である自分は、たまにその肩書きが、重く感じられてしまう時もある。彼は素の自分を出せる唯一の相手なので、一緒にいると心強く）

シャミセンは喜ぶかは知らんがな。
ああ、すぐそこだ。ここから見えるあの…。

（どうにも我が家の猫は媚びを売るということを知らないらしい。何故か妹には非常に懐いている…というか妹から構いにいっているような気がしないでもないが。相手の問いに家の方向を指差し）

…本当だ、もうすぐ到着しますね。

（指を差した方向を見ると、窓に淡黄色の明かりが灯っている、彼の家が見えて。両親はそろそろ仕事から帰って来る頃合いだろうか…と考えつつ、のんびりと歩き）

コンビニでも寄れば良かったな。本当に茶くらいしか出せんぞ。茶菓子はこないだ母さんの友達が来て出したからな。

（お茶を出すと言ってもお茶請けのお菓子が何もないことを思い出せば、コンビニにでも寄ってお茶請けの変わりになるものでも買ってこれば良かったかと呟き）

いえ、全く気にしていませんよ。万が一お腹が空いたとしても、先程頂いた飴玉がありますから。

（茶菓子のことまで気を配ってくれる姿を目にして、心優しい人だな、と思いつつ。まるで貰ったおもちゃを大事そうに持っている子供のように、無邪気な笑顔を浮かべて）

飴玉数個じゃ腹も膨れんだろ…。最悪、お前にもらった…いや、妹の前で出したら全部取られかねんな…。

（最悪の場合、相手にもらったお菓子をお茶請けにしようかと思ったが、妹の前でそんなお菓子を出したら欲しいと強請られ、全て食べられるのが目に見え）

あぁ、僕が作ったお菓子ですか？妹さんが食べても構いませんよ。…ですが、一口くらいは貴方も召し上がってくださいね。

（最後の一言を僅かながら強調し、自分の作った菓子の味が相手にどう感じるのか、気になって。あと数メートルで彼の家の前に着きそうで）

だから俺が食べるためには妹に見つからないようにする必要があるんだよ。せめて俺が一口食った後に見付かるならともかくな。

（相手の強調する言葉を察するも、それならばますますお茶請け代わりとして妹のいる前で出すわけにはいかず）

そうですか…何はともあれ、貴方の口に合えば僕はこの上ない喜びです。

（家の前に到着し。出会ったばかりの頃に、ここでタクシーを呼び閉鎖空間の方まで向かったことを思い出して）

まぁ特に好き嫌いはないし…練習したんだろ？
ただいまー。ほら、上がれよ。

（何度も練習したと言っていた相手の腕を信じることにして。ドアを開けると軽く帰宅を知らせる挨拶をして、相手を招き入れ）