＊spectacle＊ （〆）

これはこれは…！
ご丁寧にどうもありがとうございます。

（まさか直ぐにお礼をしてくるなんて…律儀な人だ、と感心して。個別包装の飴玉を普段の掴み所が無い微笑ではなく、心から喜んでいる純朴な表情を浮かべながら、会釈をして受け取る。嬉しさのあまり、僅かながらに耳元が赤く染まり）

涼宮さんは見ていて楽しい方ですからね。今度は我々団員にどのような企画が舞い降りて来るのでしょうか…？

（どんな無理難題を押し付けられても、イエスマンの自分は気にすることは無いと思って。溜息を吐く彼の肩に優しく手を置き、同情の意を示して）

丁寧にってどこのコンビニでも売ってるただの飴だ。丁寧なのは寧ろ練習してまで手作りにしたお前だろ。

（相手の表情を見て思ったのは珍しい、そんな感情で。自分的には柔和に見えてそれでいて隙のない人を無意識に近付けないような笑みよりも、珍しくとも年相応に見える今の表情のほうが好ましい、とは思いながらも口に出すつもりはなく。指先で鞄越しにトントンと相手に貰った箱を叩き）

楽しいか…？まぁお前はハルヒ専属イエスマンだからな。

（我らが部長の言うことには一切、否定の言葉を口にしない相手。楽しくない訳ではなく、楽しいことも勿論ある。しかし、いつも巻き込まれる側の自分からしたら楽しいだけではなく）

…いいえ。たとえ普通の飴でも嬉しいのですよ、僕は。
粗暴な言い方かもしれませんが、貴方の気持ちが伝わればそれで満足なのですから。

（視線を正面に向け直し、昇降口のある方面の階段を降りながら、身の上を明かして）

勿論、貴方が涼宮さんに振り回されて苦労されていることは承知の上です。しかし、色彩豊かな学校生活を送るのは、そこまで悪くはないでしょう？

（「それに…貴方が涼宮さんに話しかけることが無ければ、こうして貴方の横に並ぶことも、有り得なかったでしょう」と囁いて。下校時刻は既に過ぎており、日が傾いている。茜色に染まる彼の横顔を眺め入り）

気持ちって言っても…妹にやるように買っただけの飴だぞ。悪いがお前のために用意したとか買ったとかではないんだが…。

（たまたま持っていたものをあげただけでこんなに喜んでくれるとは予想外で、どう返していいのか戸惑い）

んー、まぁ何の面白味もない家と学校の往復よりはマシかも知れんが…ハルヒの思い付きはたまに限度を越えてるからな…。まぁお前にしろ朝比奈にしろ長門にしろ普通でないことばかりだが…。

（周りは自分を部長に関係する特別な存在だと言うが、自分はこれまで平々凡々な人生を送ってきた、と自負しており。自分に比べたら普通の人間とはどこかしら違う団員たちのほうが特別に感じ）

言われてみれば…僕らはトラブルと隣り合わせの毎日ですね。彼女が機嫌を損ねれば、僕らを取り巻く世界が、著しく変容する可能性がありますし。

（普通では無い、と指摘されて「そうですね」と言って、苦笑いをし。
彼は自身を何処にでもいる高校生だと考えているようだが、団長にとって特別な存在であることに変わりはなく。夏季休暇で発生したループを抜け出すための「鍵」も彼であったことを追想して）

まぁハルヒがトラブルの一端であることも否定出来んが。それはこれからも変わらないだろうからな。本当にお前らは大変だよな。ハルヒのご機嫌取りも楽じゃないだろうに…。

（どこまでも自由奔放な彼女に呆れ半分、羨ましさ半分といったような複雑な感情を抱いていて。しかし分かりやすくはあるもののコロコロと機嫌の変わる彼女のこと。一体どんな不用意な言動で機嫌を損ねるものかわかったもんじゃない。そのために他の団員が気を張って損ねないように頑張っているのを間近で見ているため、思わず言葉が洩れ）

そうですね。彼女の言動は、我々には予測不可能です。
大変ではありますが、涼宮さんを見守ることは「機関」に所属する僕の仕事です。これはあくまで、任務を全うしているまでですよ。

…むしろ貴方の方こそ、僕以上に苦労されていると思いますが。

（良い方向に軌道修正して涼宮さんを導くなんて、消極的な自分には到底できないと思って、お陰様で自分は何度も助けられていることを、ぽつりぽつりと話し）

いや、お前でなくともあいつの言動は誰にも理解出来ないと思うぞ。機関ねぇ…超能力者なんて数年前は持ち上げられたって言うのに今となっちゃ任務なんてもんに遣われるようになるなんてな。まぁそれがなきゃ俺とお前が会うこともなかっただろうけど。

まぁハルヒに声を掛けたのがそもそもの間違いだったが、もうあいつの我が儘にも慣れてきた。

（相手に声を掛けたのは自分から。それはただ純粋な好奇心からだったが、それからなかなかに長い付き合い。もうそろそろ相手の突拍子もない言動にも慣れてきた頃で。自分は別に特別なことをしたつもりもなければ、軌道修正なんて大掛かりなことを考えて動いた訳でもない。ただ放っておくと危ない人物についお節介を焼いてしまったことは否めなく）

まさか、貴方が涼宮さんに接触すると思ってもいませんでした。小さなきっかけのおかげで、刺激的な毎日を過ごしていますから。

…優しいのですね。僕から見れば、貴方は無自覚かもしれませんが…いつも他人のために動いていますよ。

（彼のお節介な性分が垣間見える発言を聞いて、思わず吹き出して笑い。暫くして下駄箱が列になって並ぶ昇降口が見えてきて、辺りを見渡し）

おや？人通りがまばらですね。…生徒は部活動を終えて、帰ってしまわれたのでしょうか。

（二人で話している内に意外にも、時間が早く経っていたようで）

まああいつが後ろの席でなければ俺も話しかけていなかったかも知れんが。今更、それを言ってもどうにもならんからな。

知らん。優しいかお節介かは受けとる相手によるだろ。他人のために動いたところで相手がそれを迷惑と感じてたらそれは余計なお節介になる。逆も然りだ。

（吹き出す相手を一瞥するも、特に気分を害した訳ではないようで。上履きを靴に履き替えながら相手の言葉を聞いて相手の目線を追うように軽く周りに視線だけを彷徨わせ）

もうそんな時間か？俺たちはどれだけのんびりしてたんだ。

（ポケットから携帯を取り出し時間を確認すると小さく肩を竦め息を吐きながら携帯をポケットへ仕舞い直し）

（9組の下駄箱は5組の列の少し離れた所にあるので、「では」と軽く一礼して一旦別れる。上履きを指定のロッカーにしまい、靴に履き替えて）

どうやら、知らぬ内に話に花を咲かせていたようですね。またしても僕の話に付き合って頂けるとは…いやはや、面目ない。
…妹さんも待っていることでしょうし、行きましょうか。

（片目をウインクしてみせて促し。実際の所ウインクをする程の余裕は無く、強がっているだけであった。
もう少し距離的にも近づいて、彼の心に触れてみたいと思っているが、気が引けてしまい）

（相手の言葉に「おー」と軽く返事を返し、相手が靴を履き替えるのを待ち、さっきの部室前の光景みたいだな、なんて考え）

別にお前の話に付き合った訳じゃないさ。俺も時間が経ってるのに気付かなかったんだからな。妹は俺がいなけりゃいないで、シャミセンと遊んでると思うが。ハルヒ程じゃないが妹もかなり自由だからな。

（イケメンはこんなキザなことをしても絵になるのか、なんてぼんやりと考え、悔しいやら羨ましいやらで特に反応は返さず。相手の考えなんて知る由もなく、恋人となった今でも基本的には淡白な性格なため、特に今までと変わった様子はなく。相手のほうが身長は高いが自分の歩幅に合わしてくれているのであろう相手と足並みを揃えて帰路を歩き）

妹さん、合宿でも見かけましたが、元気で可愛らしい方ですね。また一緒に遊びたいものです。

（彼の妹の話を頷きながら聞いていると、学祭の映画に出演した、珍しい雄の三毛猫であるシャミセンのことが思い出されて。一瞬春らしい穏やかな風が吹いて、額を覆う長めの前髪が揺れたのが感覚的に分かり）

人気のない夕方は何処か落ち着きませんか？ええと…

（他の話題を提示するのに行き止まってしまい、ふと自身に比べ目線がおよそ8cm下の彼をちらりと見る。
こうして愛人が隣にいるのが実感されると、色んな感情が込み上げて来るような気がするが、ただ一言「僕は幸せ者です」と耳元に囁いて）

そりゃ妹も喜ぶだろうよ。妹も楽しかったみたいだしな。

（いつも元気な妹ではあるが合宿の日はいつも以上に元気だった気もする。そもそも自由奔放という言葉を体現したような部長である彼女と、自分の妹が揃ったのだ。あの二人が楽しまない訳がない。自分としてはもう少し慎みとかを持ってほしいところだが）

そうか？俺は別に特に何も……っ！？お前なぁ…。

（相手の問いに何気なく答えるも耳元で聞こえた声と台詞にびくりと肩を竦め、相手から少し距離を取ると恨みがましい目で相手を見遣り）

…すみませんね、学校では中々、貴方に本心を打ち明けることができませんので。

（意外にも、自分の発言に吃驚しているようだった。
苦い表情を浮かべている相手を前に、気が咎めることは無く、くすりと笑い。彼を驚かせた後に感じている達成感を悟られないように、ただ目を細めて見つめ）

そりゃ誰が見てるかわからんしな。誰に見られても問題だが…ハルヒに見つかったら危険なんだろ？

（相手の表情に何を言っても無駄だと即座に理解して。淡々と答えるも最後の言葉は真剣な声音でポツリと呟き）

…勿論です。

万が一、涼宮さんに気付かれてしまわれた場合には、特大の閉鎖空間、或いはそれ以上の災害が発生しても、おかしくありませんから。

…ええ、決して誰かに周知させてはなりませんね。

（改まった口調で返答し。日が陰り、互いの顔が薄暗くなる。…そう。これは決して、彼女に知られてはならない、文字通り「危険な関係」だ。
自分は相手を危険にさらしていることが、改めて実感されたので先程の笑みは消え、神妙な顔で控えて）

まぁ今まで同じ部で団員として過ごしてきてる訳だし、今こうして一緒に帰ってるくらいは不審がられないとは思うが。急に余所余所しくなるのも逆に怪しいしな。まぁハルヒの前では今まで通りで徹底しないとな。…まぁそんな顔すんな。

（付き合いたてとはいえ、今のところ彼女どころか他の団員が気付いている素振りもない。いや、同級生の本好きな少女だけは何もかも理解している気もするが。万が一、他の団員にバレたとて、あの二人も彼女の機嫌損ねてはとんでもないことになるとわかっている。だから他の団員にバレたところで彼女に伝わるとは思えないが、話や噂さはどこから広まるかわからないので、用心するに超したことはない、と一人思い直し。相手の背をポンと叩き）

（力強い言葉をもらって拍子抜けし、彼をより信頼したいという心持ちが高まって）

そうですね。北高ではいつもの通りに、過ごせば良いのですから…どうやら、深刻に考え過ぎていたようです。

僕は付き合い始めてよく分からないことも多かったので、貴方を心配させてしまいましたね。

…相談できて以前よりも安心できましたし、感謝致します。

（心の内で秘めたこの関係が女子団員達、特に涼宮さんに示唆されることが無いようにすることを見つめ直して。「流石ですね」と感心し、「さらに貴方が好きになってしまいそうです」と付け足して顔を綻ばせ）

これだから真面目な奴は…極端なんだよ、考え方が。裏の裏まで深読みしようとする。誰しも裏はあるもんだが裏の裏は所詮、表だ。そこまで深読みする必要もない。

俺だって誰かとこういうことになるのは慣れてないからな。わからんことだらけだ。

相談くらい友達であっても乗ってやるさ。いいアドバイスが出来るかどうかはわからんが。

（相手が色々なことに対して真面目なのはわかっているつもりだったが、そこまで深刻に考えていたのか、と小さく溜め息をつき。特に今までと変わったところのない今の関係ではバレるリスクはそう高くなく。付き合ったばかりの今は「友人」から「恋人」に関係性の名前が変わっただけのような状態で）