車掌 2021-01-20 15:39:52 |
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>55 アイリス
……うん、ずうっとそのままなら良いと思う。きらきらはきらきらなままでいてほしいなって。
( 不変のものなんて存在しない。いずれ輝きは失われ、なくなってしまうのだろう。わかっていても、続いてほしいと思えてくるのだから不思議だ。此処で揺蕩う時間が何よりも楽しい。他の世界もきっと輝きを持っていて、だから零れ落ちてしまわぬように掴んでいたい。何があっても興味がなかったはずなのに、いつの間にかこんな世界も悪くないと思えた。「そうだなあ。でも、でもね。ちょっとだけ、怖い。話したらアイリスが離れていくんじゃないかって、思っちゃうから」思っているよりも素直にするすると出てきてくれた本音。弱さも、脆さも、彼女なら受け止めてくれるかもしれないとそう感じられたのだ。嫌われてしまったらそこでさようなら、なんて割り切ることは出来ないかもしれないけれど。ちゃんと笑えていたかは定かではないが、自分ではそこで微笑んだつもりでいて。「うん、行こっか!」ぴょんぴょんと飛び跳ねる兎を追い掛けてゆく。思っていたよりもすぐ近くにあったお菓子屋さんにびっくりしつつ、中を覗くとそこにいたのは兎の耳の生えた男の子。「アイリス、はやいね……?」軽く息を整えてから扉を開くと、外に漏れていたものよりもずっと甘い香りが出迎える。きらきらのキャンディーやパウンドケーキ、モンブランなどのケーキ類にクッキーなどの焼き菓子。どれも見てもポップで可愛らしい。驚いていた店員が此方にぴょんと駆け寄ってくるのが可愛らしい。「おすすめとか……あるのかな?」そもそも答えてくれるのかさえわからない問い掛けに対し、嬉しそうな笑みを浮かべた兎耳の子が手をぱっと広げてみせる。まるで全部がおすすめ!とでも言いたげに瞳を輝かせてくるその子に、どうしようかと悩むばかり。「アイリスは何が好き?」決められないのだから、一先ず好みを問うてみようか )
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