車掌 2021-01-20 15:39:52 |
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( 随分と長い間、眠りの底に沈んでいたように思う。起き抜けに感じた違和感の正体はすぐに判明した。眠る直前の記憶がすっぽりと抜け落ち、目の前にはまったく見覚えのない景色。眠気の乗った瞼を擦りながら周囲を見渡せば、奥行きのある細長い室内に規則的に並べられたベルベット張りの座席──成程どうやら汽車の中に居るらしい。そして車窓の向こうへ目を遣れば永遠に終わりの無いような闇と、ちかちかと光り瞬く星々の煌めき。無意識に窓硝子の表面へ滑らせた震える手で、そのままパチンと自分の頬を引っ叩けばヒリヒリと痛みが走り、眼前に広がる景色や今起こっている事象が全て現実の物だと察する。夢でないなら、これが現実だと云うなら、記憶を辿れど一切乗車した覚えの無いこの汽車は一体何処へ向かっていて、自分は何故ここに居るのか。聞こえるのはガタゴトと揺れる汽車の走行音、それだけ。いやに静かなこの車輌には自分の他に乗客は居ないようだが、他を探せば人が見つかるだろうか。押し寄せる不安に脈の早まる心臓とそれに伴って浅く細くなる呼吸を無理やり抑え、座席を立つと隣の車輌へ続く扉に飛びつき、それを勢い良く引き開けて )
おい、誰か居るのか!?
( / PFのご確認と参加許可ありがとうございます!早速初回ロルを投下させて頂きました。遅筆の為ほぼ置きレスになるかと思われますが、相性等に問題無ければお手隙の時にのんびりお話して頂ければ幸いです。)
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