おばけなんかこわくない！(BL)

…徹さん
(また別の場所へ向かおうとしている彼が真横を通り過ぎるのを待って、見つからないように慎重に、再び後を付いていく。せっせと会議の準備を進める彼の側、二人が話していたときの感情を引き摺っていると、彼の独り言が聞こえてきて。「そんなふうに思っててくれたんだ…」となんだか先程のどす黒い気持ちが和らいだ気がして。今すぐにでも姿を見せてあげたいところだが、彼の中では、今自分は留守番をしていることになっている。会議も始まったことだし、今は彼の頑張っている姿を見守っておこうと、陰からエールを込めた視線を送り)

…んーっ、終わりましたぁ、疲れた…あ、お疲れ様です。…え？集中出来てない？何でって…、
（一時間ほどの会議が終わり、ググーッと伸びをしていると上司に声をかけられて、少し戸惑いを見せるがすぐに考え始めて。しかし出てくるのは「早く帰りたい」という思いだけ、どうしようかと悩んでいると良い案が浮かんで）

んーっと、最近気になる人が出来てですね、その人が可愛くて可愛くて…、えっと…、髪色が白っぽくて、翡翠色の瞳をしてます！じゃっ！これにて失礼します～！
（ゆっくりと視線を上に向けながら、家で待っているであろう彼の特徴を挙げていき、しかし勿論自分としては「恋心」なんて芽生えてないから。と思いつつ。頭を下げた後足早に去っていこうと入り口の方へと歩き出して）

気になる、人……
(その発言に再びなんとも言えない感情に襲われる。恐る恐る上司であろう人に説明する彼の言葉を聞く…が、彼の口から出てくるその特徴は綺麗に自分と当てはまって。マイナスの気持ちが一瞬で消えてなくなり、胸がきゅんとして、どくどくと鼓動が速くなったのを感じ。)
…！、速く帰らなきゃ
(帰宅の許可を貰ったであろう彼が会議室を出るのを見て、自分がちゃんと出迎えてあげなくちゃ、との考えが脳裏に浮かぶ。焦ったのか後先考えず、兎に角彼より先に家に帰ろうと慌てて陰から飛び出し)

(/見つかっても見つからなくても大丈夫ですー)

♪～…、あれ？今いたのって…、朝陽クンっ！？
（機嫌良さそうに廊下を走っていると前に見慣れた顔を見つけて、よく見てみればそれは家にいる筈…の彼。ぽかんと数秒程固まるがハッとして彼の方へと駆け寄ろうと走り出し）

朝陽クン…っ、、何でここに…っ、
（暫く走るが見失ってしまい、入り口付近を探していると見つけて。転けそうになる…も立ち直して漸く辿り着いて声をかけて）

（/見つかった方が美味しい展開になりそうなので見つけることにしました。）

ひ、…と、徹…さん……
(やっぱり見つかってしまった…と気まずそうに視線を反らし。どう説明しようかと暫く床を見つめた後、決心したように相手の瞳を見つめ)
っ、ごめんなさい！……一人じゃ我慢できなくて
(きゅっと瞳を閉じて謝ると頭を下げる。言いつけを破ったこと、勝手に後を付けてきたことを怒られるんじゃないか、下手をすれば家から追い出されるんじゃないかという不安で目の端に涙を浮かべながら謝って。折角仲良くなったのに、これがきっかけで彼に嫌われるのは嫌だという思いで肩が震えていて)

(/承知です)

はーっ…、何勘違いしてくれてんの？謝るのは俺の方だよ。…一人にしてごめん、俺も会いたかった。本当、ゴメン。
（深く溜息を吐くと怒る様子は無く、ニコッと笑い。ボソボソと呟くと少し頬を赤くして、口元を押さえていると恥ずかしさが一気に込み上げてきて）

…あ、もしかして…、俺と上司サンとの会話聞いてた…？
（ここに居ると言う事は付いてきている…、という事はずっと後を着けていた…という事をハッと思い出した様に話すと数歩ほど離れて彼の前に立ち、下を向きながら顔を真っ赤にして頭の中をグルグルと恥ずかしさが回っており、どうしたら良いのか分からなくなってしまい「朝陽クンの事を言っている」…なんて言えるはずもなく、何故か胸がチクチクと痛んで）

徹さんは、悪くない…よ
(ぐしぐしと袖で涙を拭い、泣いては駄目だと自分に渇を入れ、半泣き状態のままにっこり笑顔を見せて。それと同時に彼の自分に対する思いも伝わってきて思わず胸が熱くなり、再び涙が込み上げてくるもぐっと我慢して)

…聞くつもりは無かった、けど……だ、大丈夫だよ！…？、どうしたの？
(変に隠すようなことはせず、彼からの問いに申し訳なさそうな表情でこくりと頷いて。優しげな笑みを浮かべ、持ち前のポジティブシンキングで励ますような言葉を投げ掛けるも、顔を真っ赤にして俯きだした彼に不思議そうな視線を向け)

…ぅ…あ…、いや…、何でも…。
（彼の笑みを見るとまたどくんどくん、と胸の鼓動が心なしか早くなっていて少し動揺した様に。「もしかしたら本当に好きになったのかも知れない…、」と考えるもそんな訳無い無い。と否定する…がやはりそうなのか、と思いいつの間にか意識してしまい言葉がうまく発せずに）

…帰ろっか、もう結構暗いし…家だったらもっと気楽に行けるし…、
（ブンブンと頭を振り、今までの思考をリセット。いつも通り、と自分に暗示をかけてみると先程の動揺は落ち着いて、顔の赤さも大体引けていて。彼に声をかけると朝とはまるで違う、如何にも不気味な真っ暗な帰り道を進んで行き）

徹さん…、怖い……
(家に帰ろうと言われ、彼の後をふわふわと付いていく──が、辺りはもう真っ暗。行きは太陽が出ていて周りがよく見えていたが、帰り道、光といえば十数メートル間隔で外灯が立っているだけで、月明かりなんてものはない。もともと人間だった頃から怖いものは大の苦手…、いつ不審者が出てもおかしくないこの状況に怯えるように、彼の近くに寄ってそう呟いて)

…え？もしかして朝陽クン…怖いの苦手？
（近くに寄ってきた彼を見つめると不思議そうに首傾げ、幽霊でも怖がりは居るんだな…と察して。安心させる為か自分もそっとそばに近付いて）
家がすぐそこで良かったね、、そろそろ着くと思う。帰ったら録画してあるバラエティとか見よっか～…！
（暫く歩いているともう少しで到着。と言うところまで来て彼に視線を向けると少し微笑み提案して。それは日中一人にしてしまった事への想いが篭っており）

うんっ
(気遣ってくれる彼の優しさが身に染み、つられるように笑顔を見せる。二人でこうして並んで歩くだけで自然と恐怖も和らいでいき、「徹さんとなら怖いのも大丈夫かも」と思い始めて。少なくとも数年の間は感じたことの無い大きな安心感を得ていて。もっと沢山話をしたい、もっと一緒にいたい、という想いで頭が一杯になり)

…ふふっ…、やっぱり可愛いなぁ、朝陽クン…、
（クスッと笑った後、見惚れたように本音を漏らす。数秒後、「…あ、」と言ってしまった事に気付くも別に伝えておいても変わりないだろうと思い特に気にする事はなく。）

ただいまぁ～…、疲れた
（マンションの住んでいる号室に入ると倒れ込む様に座り込み、靴を脱ぐと「着替えてくる…」と言い自分の部屋へ行きサクサクと普段のシャツ＆黒色カーディガンに着替えてリビングへ戻って）

かわ…いい……
(そんな事言われたことがなく、少し戸惑いながらも照れ臭そうに頬を紅く染めて。この気持ちは素直に受け取ると「ありがとう」と微笑んで)

おかえり、お疲れ様！徹さん
(着替えてリビングへと戻ってきた彼を満面の笑みで改めて出迎え、すーっと近付いて。今日一日側で見守っていたため、彼が頑張っていたことはよく分かる。労いの言葉を掛けこれから二人で過ごせることがとても楽しみのようで、落ち着いていられないようで)

ヴー…ありがと…、
（低く喉を鳴らした後、嬉しそうにペコリと頭下げてストンとソファに座って。テレビの録画記録を再生して行き「これで良かった？」と彼に確認して）

あの…さ、朝陽クンって生きてた時幸せだった…？
（コント内で幽霊をネタにしていて少し真剣な眼差しで話して、「もし幸せじゃ無いなら俺がずーっと幸せにしたい」と告白に近い様な台詞を言い出し）

(彼が操作した番組を見て「合ってるよ」と笑顔を向け、彼の隣でふわふわと浮いて)
んー…幸せだったら、僕は幽霊になってないよ
(人間だった時のことを思い出すと、どうしても当時の辛かったことも一緒に蘇ってしまう。小さく苦笑いして。彼の口から発せられた言葉に目を丸くすると、「…でも、今は、徹さんと逢えて幸せ」きゅっと目を細めて、この幸せを噛み締めるように呟いて)

…そっか、辛い事思い出させちゃった…かな、、
（申し訳なさそうに手を合わせ、擦り寄る様に彼にぴったりくっつく…事はないが近くに移動して。目を丸くしている彼に「ありがとう。俺も朝陽クンに会えて幸せだよ、」と言うと少し恥ずかしい＆照れているのか頬を赤くし頬緩め）

会えたって意味では…、幽霊になってくれて感謝してるよ。勿論朝陽クンは迷惑だと思うけどね、あはは…
（上記を言うと苦笑いして。じっと見つめてずっと一緒に居たいけど、成仏させる約束だもんね。と思い少し切ない感情が襲ってきて）

運命…なのかも
(奇跡だとか宿命だとか、そういったものを信じるようなタイプではないのだが、こうして二人が出会えたのにはまさに「運命」という言葉がピッタリな気がした。聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で呟いて。何だか先程より彼の表情が曇ってきたように感じ、話題を変えようと「あ、僕この人たちの漫才好きなんだよね」とテレビの方を指差し)

…っ…、運命かぁ、じゃあ俺に会う為に幽霊になったのかもね、、なんちゃって…、ふふっ。
（相手から発せられた言葉は小さかったのにも関わらずしっかりと聞き取って/テレビに視線を向けながらも言い、表情も明るくなってきて）
ん、そーなの？俺知らないなァ、、でも面白いっ！ふふふふ…、
（彼に言われると暫くその漫才を見ていて/こてんと首傾げるも声を上げて笑い出し、「…あははっ、俺も好きだよ。」と主語がハッキリしていない言葉を言い出して）

そうなの？僕も好きだから…一緒だね！
(彼の言う、曖昧な「好き」をその漫才の事だと自己解釈し、それに同意するよう大きく頷いて。まあ何はともあれ、同じジャンルのテレビが好きという共通点が見つかったことは嬉しいらしく、きらきらした瞳で彼を見つめ)

…！やっぱり面白いのが良いよね～…、ホラーとかも録ってあるよ、見る？…
（ぽかーんと数秒見つめていたが頷き返して、どこか彼の目が変わった様な…、と思うが気にしない事にしてニコニコと笑い。
悪戯気に笑うと今見ている録画を停止しホラー番組を再生し始めて、一旦停止すると彼の方をふっと向いて）