下級妖怪 2019-12-07 18:50:28 |
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>18 雷斗
君みたいなの……つまり、喋る可愛い動物は皆雷獣って事?(左右にふわふわと揺る尻尾や、声音からも伝わる自信に満ちた意思に思わず顔を綻ばせ。しかし妖怪の類いに関する広い知識も、勘の良さも持ち合わせていなければ、正解には辿り着けず、ズレた回答を示し。「わわっ!……え、えぇっ?人間になっちゃった!すごいね、魔法みたいっ」次々生まれる疑問を矢継ぎ早に述べてしまったが、その答えなのか。相手の"此方の方が"との発言にはキョトンと小首を傾げ。相手の体が暗闇を照らすように淡く輝き出せば、顔の前に手を翳し一瞬目を閉じ。瞼を開けば、小動物の居たはずの場所には一人の少年が立っていた。外国人のような金糸に赤が入り交じった長髪。威圧感は不思議と無い、赤いつり目。洋風な外見ながら、藍の和装が不思議と馴染んで見える。目線を合わせようと屈んでいた体勢から立ち上がれば、不可思議な大変身を遂げた相手に興奮したように黒真珠の瞳をキラキラ輝かせ。だがその興奮も、命を狙われる原因が不明と告げられてはぐっと眉間に皺を寄せ「……そっか、雷斗君もよく分からないんだ。教えてくれてありがとう。けど、嫌いなら追い出せば良いだけなのに、それだけで命まで奪ったりするのかな……。え?マンションは、マンションだよ。コンクリートの長方形の建物。うちのは12階建てだったけど……見た事、無いの?」初対面の自分の質問に色々と答えてくれた優しい相手に感謝しつつも、疑問は残る。余所から来ただけにしては、過激な手段では無いか。相手が嘘を付いているとは思えないが、この場では答えの見つからなそうな問いを、ぽつりと呟き。そして自分にとっては聞き馴染みのある単語を、初耳とばかりに聞き返されてはパチリと瞬きを一つ。日本に住んでいて小学生ならまだしも、この年頃の少年が知らないなんて事はあるのだろうか。屋台や明るい大通り近くには木造の民家らしき建物が見える。住所に対する反応も、見える範囲の景色の中にはビルもマンションも、提灯の灯りで照らす足元に車が通れるよう整備された道路も、無い。「ちなみに、さ。この辺って何て言う場所なの?変な事聞くけど、日本なのは間違い無い、よね?」自分は一体何処に迷い込んでしまったのか。知っている地名が出てくるのを願いつつ、再度問い掛け)
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