高校 図書室にて、図書委員は在る。

っ……？
神崎！？何して……いや、大丈夫か？
（ビクッと物音に怯え、その方向を見ると神崎が居て、それに向けて怒号に似た声を飛ばすものの、その後すぐに、彼女を心配するように手を差し伸べて）

あいたたた…うぅ…ありがとうございます…！？
…あ、えっと…き、桐島先輩！？その、えっと…こんなとこで会うなんて奇遇ですねー！あはは…(差し出された手を無意識にお礼を言いつつ掴むが、それがたった今まで自分が尾行していた相手のものだと気づくまでにはそうかからず、こんなところへ何の用もなしに立ち入るなど普通ある事ではなく、かなり無理があるがあくまでも偶然を装おうとして)

……尾行してたな、おまえ。（一瞬で見抜くと、彼女の手を掴んで引き、立たせると，ずいっと顔を近寄らせ、
そう問い詰めて）

そ、それは…ええと…だ、だって仕方ないじゃないですか！あんな如何にも謎めかした感じで出て行かれたら気になるじゃないですかー！(問い詰められてたじろぎ、しかしすぐに開き直ってそう言い放って)
あ…と、ち、近いです…今私途轍もなく臭いと思うので…!うぅ…(ゴミ捨て場に突っ込んだのだから当然だが、恐らく客観的に見ても酷い臭いを放っているのは確実で、出来るだけこんな自分の臭いを嗅いで欲しくないと後退りして)

……だからと言って、学校を抜け出してまでそんなことをするな（相手の言葉を気にすら事はなく、開き直る彼女の額を小突くと、相手の匂いを嗅ぎ、そのまま相手の肩を壁に押し付けて）

そんなこと言われたって…しょうがないじゃないですか…良くないことだってわかってても先輩のこと気になって…っ！？せ、先輩、だ、だから、そんなに近づいちゃやです！(下唇を噛んで俯き、そして顔を上げて言い返そうとすればこちらの言葉など聞いてなかったかのように距離を更に詰められ、どぎまぎしながらも、やはり自分の今の体臭が気になって顔を横に振って)

______一応言っとくんだがな、さっきやってたのは別に悪いことじゃないぞ。
あぁ、大丈夫だ、ゴミの匂いならよく知ってる、慣れてる。（苦笑いしながら過去を語るようにそう言い、そのまま顔が触れ合いそうな場所まで近づいて）

！ですよね、私だってそう信じてましたよ？でもやっぱり念のため自分の目で確認しておきたかったと言いますか…
…って、そ、そういうことではなくてですね！？こういうことはその、もっとムードとか雰囲気のいい場所でと言いますか…って、私ってば何を言ってるんですかーっ…(近過ぎる距離感にドキドキと心臓は早鐘を打ち、緊張のあまりもはや自分でも何を口走っているのかすら曖昧で、一人でわあわあ騒いでいて)

______ふん、冗談だ、ほら帰るぞ。
（嘲笑うように嗤うと、相手から離れて）

うぅ…またからかったんですかー！乙女の純真を弄んだんですかーっ(ぷんすか怒りながらも、少しだけ安心した風でもあり、相変わらず騒がしくしながらも後をついていき)

人のプライパシー覗こうとしたやつがよく言えるな，今すぐにでもここら辺にほっぽってもいいんだぞ？
（ジロリ、と騒ぐ彼女を睨み、その後不敵な笑みを浮かべて）

う…じょ、冗談ですってばー、だから置いてかないでくださいよー！このままゴミ捨て場に放っておかれたら本当にちょこがゴミと間違って回収されちゃいますってば！(こちらの非を指摘されるとさっきよりは大人しくなって相手の隣に追いついて)

いや、多分ホームレス達に攫われるだろう。
少なくともガキは高く売れる、人身売買とか裏ではふっつーに起きてるからな。（至って冷静にそう言い、そこら辺に蔓延るホームレスを指差す、そしてその後相手の方を見て，少しスピードを速めて）

そういうリアルな事情は聞きたくなかったんですけど…せ、先輩、歩くの速いですよー！(途端にそこらのホームレスが恐ろしく見えてきて、少しでも相手が離れると心細いのか少し小走りになりながらペースを合わせて真横の位置を維持して)

……オレは，おまえが苦手だよ。
（真横に走り寄ってきた相手を見て、無表情で寂しい顔でそう言い）

この期に及んでまだ言いますか…しまいには私だって泣いちゃいますよ？
はあ…でも今はそんなことより早く帰ってシャワーが浴びたいです(軽くむくれながら、改めて自分の腕を顔に近づけてスンスンと鼻を鳴らせば思い切り顔を顰めて)

泣くなよ、オレも悲しい。
……お前だけじゃない。
人間が嫌いだ、会話をしたくない。（ボソリと，何かを思い出すようにそう言い）

冗談ですよー！ちょこはこんなことで泣くほどヤワな子じゃありませんので
…………(悪戯っぽく舌を出して笑い、暫しの沈黙の後返事をするかわりに相手の手を両手で包み込むよう握って)

人を知る。
それはつまり人間の内情を知ること。
裏の感情 面の感情 隠している感情
自分のことをどう思っているか。

______それ以来嫌いになった。
会話をするたび思う、人の心情を考える。
結果、自分から離れてく。
だから、自分さえ信じれなくなった。
人間が嫌いなんだ。オレは。
そういうコトだ，オレみたいな悪名高い奴とはもう離れろ。（ギリッと奥歯を噛み締めて，その後作り笑いをし、相手から離れるように距離を取り）

なんだ、そんなことですか
先輩、ちょこは自分を偽って隠したまま人と付き合っていけるほど器用な子じゃないですよ
嬉しい時は嬉しいって言いますし、悲しい時は悲しいって言います、嫌な時は嫌だってちゃんと言います！

そして…好きな時は大好きって、ちゃんと伝えますよ…？
人間が嫌いでもちょこのことだけでも好きになってくれませんか…？なんて、無理ですかね、やっぱ、あはは…(離れていこうとする相手の後ろから両手を回して抱き止めて、背中に額くっつけるようにして自身の思いの丈をぶつけて)