AB型 2019-08-08 01:31:39 |
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>>2590 駿さん
……え……あ……し…っ…俺、は……貴方が事故に遭った現場にたまたま、居合わせて…目の前であんな光景見たから…心配で…貴方は事故にあって今病室にいるんです…。
(意識が目覚めたのだろう。自分の手に震える指先の感触を感じて彼の瞳は開く。弱々しく微笑むその唇は──自分の名前ではなく“健二”と元カレの名前を口にして。自分を見る彼の瞳がその物言いが普段とはあまりにも違う。そして決定的な一言に目を見開いては心臓が握り潰されるように痛み苦しくなって目の前が真っ暗になっていく──頭の中も心の中も一気にぐちゃぐちゃになっていきながらも握っていた手を離す。その時、指先は抑えようとしても抑えられないくらいに震えてしまいそれを反対側の手で掴んでぎゅっと握る。何か言葉を発しないと…でも…何て言えば良い…?彼は頭を打った…だからこれは…一時的な記憶の欠如…そう思いたかった…。でもこんなぐちゃぐちゃになっても確実に言えるのは──“今の”彼が必要としているのは…側にいたいと想うのは……──自分は知っていたはずなのに、分かっていたはずだ…“永遠に変わらずに続く関係”そんなの…ないんだって…分かっていたのに…。今の彼に自分が何者か説明してもきっと伝わらない…理解されない。それどころか余計に混乱させてしまう…苦しめてしまう…。そんなことは絶対にさせない。口を開こうとするも思考と口が通じ合っていないかのように乾いた音が漏れた。咄嗟に呼ぼうとした彼の名前も呼ぶことは出来ず口元を手で覆って。でも頭は何とか動いてくれた。今の彼が自分に感じている警戒心を少しでも和らげる言葉を彼に伝えて。今の彼の中に自分は…“晃太”はいない──これで良いんだと笑み浮かべ「外に貴方と同じ職場の人もいます…貴方の目が覚めたら声掛けるように言われていたんです…ちょっと待ってて下さいね。……貴方が無事で…本当によかった…馴れ馴れしく手握っちゃって…すみません…」パイプ椅子から立ち上がりながらそう言葉を続けては視線を彼に交わらせ心からの言葉と手を握ったことの謝罪を述べて扉へ向かって。そのまま扉に手を掛けると病室から里山がいるであろう廊下へと出て静かに扉を閉めて。心が悲鳴を上げているのは見ないフリ聞こえないフリをして蓋をして。里山に今の彼の現状を説明しては「……きっと彼の記憶は退行してる…健二さんに会いたがるでしょうけど…少し時間が欲しい。俺のことはたまたま現場に居合わせた通行人ってことにしてるから余計なことは言わないで…彼を不安にさせたくない。暫くは川本さんとか彼が安心できる人の所に…。彼の着替えとかは準備して俺が渡すよ…その他諸々のこともお願いします」自分には自分の出来ることを…しないととそう思いながら今にも崩れてしまいそうになる体を奮い立たせて里山に頭を下げると足早に脇を通りすぎて)
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