AB型 2019-08-08 01:31:39 |
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>>2589 晃太
───……
(時刻は既に日が丁度落ちたころ、彼が駆けつけてくれたことなど知らずに今自分は深い眠りの中。白い靄が掛かった上下左右も分からない果てしなく広がる暗闇を彷徨っていた。ああ、これは夢なのだと理解して目覚めようと瞼に力を入れるも敵わない。最近はずっと仕事付けで帰ったらあの男の相手をしなければいけなかったから疲れが溜まっているのかもしれない。こんなにどっぷり眠れているのは久しぶりだしこのまま寝てしまおうかと…“最近”は良く眠れているはずなのにと疑問が一瞬過るも、それはすぐに消えて暗闇に身を委ねようとして。その時、温かな手に片手を掴まれる。白くて細いその手は少しひんやりしていたが何故か心の内側までじんわりと温めてくれて。自分はこの手を知っている。でも何故だろう、泣いているのだろうか。寂しくて悲しい感情も伝わってくる。それと同時に断片的に肉まんを一緒に食べたりギターを引いたり山登りをしたりと記憶のピースが流れ落ちてきて。しかし肝心の自分と一緒にいる誰かの顔が黒く塗りつぶされていて、自分がその誰かの名前を呼んでも其処だけノイズが入って聞き取れない。誰だろう…でも自分はこの手を掴み返さなければならない気がする。泣かなくていいと笑って沢山頭を撫でてやって─……「ン……此処は…、」すぅと緩やかに浮上する意識。見慣れぬ白い天井とアルコール消毒の匂いにぼんやりしながら繋がれた手を辿りその人物の顔を見る。まだ視界は歪んでいたがこうして手を握ってくれる人物は一人しかいない。でもいつぶりだろう。こんな優しく握ってくれるのは。力の入らない指先を震わせながら弱く微笑み「…健二…、どうしたんだ手なんか握って………!…あ、えっと悪い…人違いを。」自分の恋人だと思って語りかけたが焦点が定まりその人物の顔がはっきりと見えると見知らぬ綺麗な顔立ちをした“青年”がいて驚きで目を瞬かせる。咄嗟に謝って嫌な胸騒ぎを感じながらその青年を訝しげに見て「…その、悪い…お前…誰だ?」何故この青年は自分の手なんて握っているだろう。不快は不思議とないが、怪しすぎると今までに彼に向けたことのない警戒の眼差しを向け、無自覚ではあるがあまりにも心無い言葉を彼に浴びせて)
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