嵐の夜に、君と出会った。

とりあえず…シラベの友達に人間が嫌いな奴がいなくて良かったな…。
(ふ…とごく短く息を吐き)

「そりゃあ、君が小生の友人だからさ。
友人を食べられるわけにはいかないからね」

人を…食うのか…。
(一瞬で顔を青ざめさせじーっと穴が空く程シラベを凝視して)

「中には居るさ。ケガレ、と呼ばれる輩がね」

ケガレ…穢れか…。
(眉を潜めて少し俯きながら考え始め)

「…まあ、ケガレのような存在は小生の友人に
一人居るがね」

駄目だ…。新しい事が多過ぎて頭がパンクしそうだ…。
(気を抜くように大きく息を吐き、目の上に腕を乗せ)

「はは、すまない」

「はは、すまない」

シラベが謝る必要は無いだろ。
(目を覆い隠したまま苦笑して)

「そうかい？」

ああ。振り返るとシラベを助けたつもりでも結局はお節介だったようだし。つまり全部自分のせいって訳だな…。
(風邪を引いたのも自分のせいだと苦笑して)

「小生は、ほんの少しだけ嬉しかったがね」

ん、そうか？
(思わぬ言葉に笑みをこぼしつつ相手を見て)

「心の隙間に生きる小生を受け入れてくれる
存在がいるなんて思ってもみなかったからね」

まあ、あの時は完全に普通の子供だと思ってたけどな…。
(笑みを浮かべつつ何となく、帽子の上から相手の頭を撫でてみて)

「はは、姿は人間だからね」

本当に人間にしか見えないな…。
(ふと相手をじっと見つめると感心したように呟き)

「小生は移ろうが、この姿は変わらないのさ」

移ろう者…ってそういえばだけどいつまでもここにいて大丈夫か？
(移ろう者がいつまでも同じ場所にいても良いのだろうかと思い、何気なしに聞いてみて)