けだもの。 2018-11-24 02:40:57 |
通報 |
( 漸く見慣れてきた天蓋に緑色の瞳をぱちりぱちりと瞬かせ、あの獣が側にいないことに安堵の息を吐く。眠りに逃げるように生活していたためか体内時計はおかしくなってしまっているらしく、外はすっかり日が落ちて夜の色を示している様で。月明かりを頼りにベッドを下りてクローゼットを開くと、端に掛けられている質素な黒い長袖のワンピースを手に取ってそれを頭から被るように着た。見た目こそ15歳程に見えるがその数倍の時を森の中で生活をしていた魔女にとって、用意されている広すぎるベッドも煌びやかなドレスも気後れしてしまうもので何日経っても慣れることができない。心を癒すのはこの癖っ毛と同じ色をした鮮やかな赤のカーネーションだけ、「お前だけよ」と花びらの表面を撫でて小さく囁きながら椅子に座ると、窓から差し込む月明かりに目を細めた。──初めて彼に会った日も、確かこんな夜だった。あの時は悲鳴を上げてしまい彼とは碌に話もできなかった。数日経って落ち着いた今であれば顔を合わせることはできずとも、会話の一つや二つぐらいならできるような気がする。けれど自分から赴くような勇気は持ち合わせておらず、ぼんやりと花びらを弄びながら再び彼に出会えるのを待つのみで。数日間城から出ようと試行錯誤してみたけれど事態は好転しない、ならば、彼を知るのが一番の近道ではないかと思ったのだ。 )
(/>7です。keepをしていただき有難う御座いました。詳細な設定はロルの中で提示させていただければと思います。勿論相性に問題を感じられました場合は大人しく引き下がりますので、どうぞご遠慮なくお申し付けくださいませ……!)
トピック検索 |