匿名さん 2018-08-03 00:08:59 |
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アイツが人間なら通用するだろうよ。そうでなければ確実に何か対策を練らないと…
(姿勢を変えない相手に向かって呆れた様に首を振れば、黙って言葉を聞き思案する。ふと、紙に書いてあった教団の詳細が思いついた。空の星に魔術的要素があると信仰し、信者達のみが世界の破滅の後ユートピアにて永遠に過ごせる…というまぁ何ともありがちな物だ。星が正しい刻、我らが父は降臨する。押さえられた聖書にはそう書いてあったそうだが、残念ながら自分にはただのカルト宗教が集金の為に作ったシステムとしか思えず。だが少なくとも教団がこの世界に一枚噛んでいる事は確かだろう。教祖の本名と経歴は不明、明るみに出ているのは教団設立後のみ。謎が多く、不確定要素が多いものの訓練を受けている警察官には女性一人捕らえる事など容易いだろう。しかし、あの女性も何らかの説明できないような力を持っていないとも限らない。対策を練らないと間違いなく危険、そう言いかけた際に傍の木が激しく揺れ鼓膜が破れんばかりの衝撃が走る。思わず耳を抑え、咳き込みながらも様子を見ればルーシーの手にはショットガンが握られており。残念ながら銃器を持っている相手に立ち向かえるほど自分の体は頑丈ではない事は一番理解している、そのまま息を潜めながら視線で自分の考えを伝え。相手には此方の居場所は今ので恐らくバレた、けれど攻撃を仕掛けてくるならもっと早いうちにする事も可能だったはずだ。居場所特定に銃器を選んでいる時点で、道具以外に相手は此方に対抗する術は無い可能性が高い。直後、女は口を開く。『大人しく此方に来ないと死にますよ』…彼女が手を下すにしろしないにしろ、危機的状況には変わりがない。さてどうしたものか、目を合わせ相手の意図を探ろうとした瞬間鼻に独特の臭いが染み付く。軽やかな蹄の音が一定の間隔で響き渡り、リズムを作りながら此方に迫ってくる。何かが駆けてくる音に紛れて響くのは独特の音、そしてこの臭い。恐る恐る目を凝らすと、遠くの木々が赤色に染まっている。信じたくはないが間違いなく火事だ、そして此方へ蹄と共に襲い掛かろうと葉から葉へ乗り移っているところだろうか。次から次へ起こる現象にやり場のない怒りをふつふつと沸かせながら、脳を回転させる。此方は葉と木々に囲まれ、炎に包まれるのは時間の問題だろう。一方ルーシーがいる場所は大きな広場になっており、不思議と木々は近くにはない。彼女も余裕そのものといった感じで、何か対策があるようだ。火を恐れるなら其方へ移動した方が賢明だが、移った瞬間に脳天を打ち抜かれない保証はない。加えて此方へ一直線に向かってくる何か。迷いない音は恐怖さえ覚える。よく観察してみると、炎には持続性がない。本来の物と違い、どうやらその場に留まり燃え続けるという機能は無いようだ。酷く冷静な脳内は動くを止める事なく、小さな声で相手の意見を求めるよう指示し。)
選択肢は三つ、この場に留まるか、女の方に行くか、それともここから逃げるか。…どれもメリットとデメリットはあるが、炎から逃げるなら女の方に行くのがいいだろう。安全を優先するなら自力で対処しなければなくなるが。
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