匿名さん 2018-08-03 00:08:59 |
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ああ、頼んだ。
(相手の返答はやや歯切れが悪かったが、断られなかっただけ良しとすべきだろう。そもそも、その歯切れの悪さも恐らく、感情的な迷いに寄るものではなく、理論的な根拠に基づいて考えたが為という風に見えて。満足そうに微笑むと、改めて信用する意思を口に出し。続いて、相手の挙動によって獣道の存在に気付き、相手が零した言葉も聞き拾っては「……仕留めたことはないが、贅沢は言ってられないね」と少しだけ真面目な面持ちで答えて。しかし、獣道に合流できたのは有り難いことだ。完全に道がないと、最悪、同じ場所をぐるぐる回ることにもなりかねった。また、本心を言うと、どうやって川を探そうかとも考えあぐねていたのだ。ここが普通の森なら、最適解は海に出て、沿岸を歩くことだっただろう。だが、つい先程、目の当たりにした異様な事態を思い返すと、とても足が進まなかった。もう一度、あんなことがあれば、今度こそ暗褐色の海底に連れ去られてしまうかもしれない。……その点、獣道を辿れば、もしかすると森の中を進んでも水場に辿り着けるかもしれないと思った。ここで進まない手はないだろう。少年の横に並び立ち、相手の頭にぽんと手を置くとやや明るいトーンで「とにかく、ちょっと前に君が言った通りだ。ここに留まっていてもジリ貧だからさ、進んでみよう」と声をかけ。ただ、万が一、道を外れた時、始発点にすら戻れないという状況は避けたい。目印に近くの樹木の枝を折りながら歩くことを考え付けば、足を踏み出すのと同時にまず近くの木の枝にも手をかけようとして)
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