匿名さん 2018-08-03 00:08:59 |
通報 |
……………………。
(背後に迫る波は、まるで意思を持っているかのよう。轟音から感じ取れるのは、理性を使って分析するまでもなく、本能で分かる脅威。意識の全ては視線の先にある森にのみ向けられて、声を出す余裕もなく、ただ走り。何とか目的としていた場所に滑り込んでみれば、視界の端で枝が動いたような気配があった。それでも構うことなく、もっと遠くへと走り続けるつもりであったが、次に後方から届いたのは衝突を連想させられる破壊的で大きな音と木の葉のざわめき、そして、幾らかの震動で。思わず足を止めて振り返ると、これまた理解し難い奇妙で奇怪な光景が展開されている。後退りしつつも暫し様子を伺ってみれば……やがて、波は諦めたみたいに引いていった。当面の脅威が去ったらしいことを認識しては、胸を撫で下ろし「ふぅー、やれやれ……吃驚した……」と息をついて独りごち。安心すると同時に冷や汗がどっと出る。しゃがみこんでしまいたい気分となったが、その時、背中の違和感に気付くと、背負っているのにも関わらず、忘れかけていた少年のことを思い出して。相手に向け、いつも通りの特に緊迫感もない声音で「起きたのかい?」と問いかけると、ここがどれほど安全で、留まっていて良い場所なのかは分からないが、可能ならば少し話をしてみようと、近くにあった木に寄りかからせるように下ろしてやって)
トピック検索 |