悪魔というものは恐れ、悲しみ、怒り、嘆き、即ち人間から生れ出た負の感情が魔力と結合して実体を持った存在である。
古来より人はそれを怪物、妖怪、鬼、荒神、天使、神、そして名の通り悪魔などと様々な呼び名でそれらを畏怖し、ときに敬い、崇めた。
人々はそれに対抗するために悪魔に対し有効である正の感情、「祈り」を込めた武器を携え、悪魔に立ち向かった。そしてそれを生業とするものを退魔師と呼んだ。
正の感情を最も強く発揮できるのは、感情の振れ幅が大きい人間ということでもある。それは強力な力を持つ退魔師であるほどに強烈な負の感情を生み出しかねない存在であり、負の感情の暴走で理性を失ったとき、それは非常に強力な悪魔となってしまう。
そして、その強大な悪魔を狩るために生み出されたのが負の感情を爆発させた悪魔でありながら人間の理性を持ち続けることができた一握りの退魔師。
けして表に出ることのない彼らを、【漆黒の退魔師】と呼ぶ。