希望者募集 2018-04-07 11:12:05 |
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────君の、その表情…、癖になりそうだ。
(ワインが、彼の喉を通りその奥へと消えていく、一通りの流れを見届け、それに続けて喉仏を上下に動かしながら再び一口。グラスをテーブルへと戻しては、身体を乗り出す形で相手へと手を伸ばす。するりと頬の辺りを撫でて、今の彼ならこの程度の刺激でも応えるだろう…などと楽観的に考えては、うっとりとした表情へ。予想を裏切らない彼の行動に愛情を感じながら、姿勢を正せば頬杖を付いて。「もっと、君の色んな表情が見てみたいんだ。…勿論笑った顔も好きだよ?でも、その反対も見たいと思う僕は、君への愛に狂っているのかもね。」客観的に、恍惚と微笑みを浮かべればおもむろに銀食器を掴み、皿の中へと差し込めばクルリと回し、少し冷えてしまったが味には損害なく。パク、と口に含めて咀嚼すれば、食べないの?などど。勿論、痺れてしまって、座るさえも精一杯の彼が、自分の様に呑気に食事が出来るはずもなく。「狡賢い?…褒め言葉として受け取っておくよ。」先程より冷たさがました瞳に、ぞくりと身体の芯が疼く、今の彼は身体の自由が奪われた状態、今ならそんな彼を殺める事など、赤子の手をひねるように簡単なのに、その目は鋭さが増していく。カチリ、自身のなかでなんらかのスイッチが切り替わったような、そんな感覚の後に、次の瞬間テーブルの下で相手の脚の先を踏みつけた。骨の軋む嫌な音がなって、相手が意識を飛ばしてしまう程の痛みをじっくり堪能して貰う事として、もっと歪むであろう相手の表情へと期待しながら。「しいて言うなら【 僕に振り回される君が見たかった 】ただそれだけの事さ…。」ほぼ正解と言える相手の問いに、明確な答えを提示しては悪戯な微笑みを付け足し、彼の中に自分と言う存在のなんたるかが、濃ゆく記憶されていっている事であろう。主人に強く忠誠を誓っている彼のなかに、殺人鬼であるこんな人間の存在が残っていくそんな状況に酷く興奮してしまう。それを抑えるように短く息を履けば、先程から合間見える瞳の奥の焦りと困惑へと歩み寄る。「…将之君、僕なら君を縛って苦しめるその鎖を引きちぎる事なんて容易い事さ、例えば君の主人…とかね。此処で僕の手を取ってくれたら、君は人を殺めずに済むし自由になれる。勿論僕が攫った事にしてね……。もう一度言うよ、僕の物になって欲しい──。」彼だって、好きで人を殺めている理由でもないだろう、そんな彼の弱い部分を抉るように上記のセリフを、誘惑する様な甘い声で述べては、手を差し出して。彼の主人の事については、禁句に近いワードだろう、だが任務を終えた後の彼の表情は、毎回疲れきっていて時々目の下に付いている隈は、眠れていない証拠だろう。いつ罪悪感に押しつぶされ、壊れてもおかしくない彼の事を守りたい、そんな自分が顔を出してしまったのだ。差し出した手をそのままに彼の返信を待つ事として、
────僕は、狂ってしまう程…、君を愛してる。
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