狼。 2018-03-31 22:48:57 |
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僕の絵…、なんて、描いても詰まらないでしょ…? …僕は汚いし、お姉さんの絵を汚してしまうよ。
…権力がないからこそ、だと、僕は思うけども。
(画家であると判れば描くものは風景画や人物像であろうと予想はしていたが、まさか亜人である己が描かれるとは思ってもおらず、驚いた様子でそう呟いて。己の姿は酷く汚れていて肉付きも善い訳でも無いし、みすぼらしい姿である。狼故に鼻が利く、彼女から微かに匂う絵の具や画材道具の香りからして、趣味で描いてる訳ではなく本業として常にキャンバスに向かって筆を下ろしているだろうと幼い頭で考えて。そんな彼女が亜人を描くとなると少なからず批判等が集まるのではないかと心配そうで。)
少し疲れちゃった、ありがと、お姉さん。
頑張ってる匂いは落ち着くから大丈夫。
(くたりと力の入らない躰、抱き起こしてくれた彼女の服を縋るようにぎゅっと緩い力で握り締めて。気持ち善さそうに撫で受けながら、ふと彼女の表情を見詰めてはきらりと光る涙が頬を濡らしているのに気付き、どうしてだろうかと不思議そうにしながらも己の長い爪に気を付けながら涙をそっと拭ってあげようとして。己を包み込むような優しさに思わず小さな笑みを零しては彼女から香る匂いに対して抵抗が無いことを伝えると小さく尻尾をゆらゆらと揺らして。気が緩んできたのか不意に、ぐう、と腹の虫が鳴ってしまい、何とも場違いな出来事に慌てながらも一言“……お腹空いちゃった。”と告げ。考えてみれば昨日の晩から何も食べていないことを申し訳なさそうに伝えて。)
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