若き将校 2018-03-28 22:31:14 |
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ーーお前が、同じように血を吐いたらどうしたら良い。お前が、俺の手で壊れる所なんて…!
(結核は患った者を死に至らしめる不治の病、それでいて感染力が強いという。もし自分の側に居ることで相手にも病が移り、彼が壊れてしまったら。そんな堪え難い未来が脳裏を掠め振り払うように僅かに語気を強めた所でふと我に返る。相手は自分が恐れている未来と同じように自分が血を吐く様を見て親友が壊れていくという堪え難い苦痛を味わっている、彼を拒絶することは彼の為を思っての行動ではない、自分が怖いだけではないかと。不意に背後の壁を殴る音にびくりと肩を跳ねさせたものの、漸く相手の瞳を真っ直ぐに見据えた瞳からは嘘で塗り固めた御託は消え相手の手を握る掌に力がこもる。一度箍の外れた言葉は止まることを知らない、相手に見せたくないと願った黒い心のうちも、見せたくない弱い自分も全てが今にも崩れてしまいそうな脆い儚さをまとった言葉となり涙と共に溢れ出して)ーーー怖い、んだよ…お前に、嫌われたくない…血に溺れて、壊れて行く姿なんて、見せたくないーー…!俺に、失望しないでくれ…今の俺なんて忘れて良い、だから、昔のままでーーー哀れみの目なんて、向けないでくれ…!
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