若き将校 2018-03-28 22:31:14 |
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ーーーお前を、傷付けたくなかった。先の無い俺の事など憎み、記憶から消し去って欲しいとさえ思った。
結果的にお前を傷付けた事に変わりは無いが…それでも、お前を壊したくなかった。今でもそれは変わらないーー…なあ総一郎、お前にはまだ未来がある。家庭を築くことも、また空を飛ぶ事も出来る、お前は一人でも夢を掴めるだろう、?
(相手の身体が離れ手を繋ぎ合ったまま真っ直ぐに絡んだ視線。嗚呼こいつはこんなにも深い哀愁を漂わせる、こんなにも世の痛みを知り尽くしたような目元をしていただろうか。何も告げずに姿を消した理由、それを始めて口にしながら今も思いは変わらない。相手を想うからこそ、自分を忘れ去り新しい人生を歩んで欲しいのだ。一年もの月日を自分に裂いた相手はもう自由になっても良いのだ、いつまでも相手を自分に縛り付けて居てはいけないのだと、その頰に冷えた手を添えて。自分の心の望むままに相手を縛り付けられたらどれほど良いか、行くなと、俺だけを見てくれと言えたらどれだけ良いかーーしかし我儘を言えない厄介な性分は昔から変わらず、こうすべきなのだという理性的な言葉ばかりが唇から紡がれる。)ーーもう、忘れて良い……忘れてくれ、探してくれただけで十分だ。俺は、お前の足手まといになりたい訳じゃない。此処に居たらお前の未来まで、血に奪われる。
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