若き将校 2018-03-28 22:31:14 |
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(確かな存在を、今腕の中に感じている。見た目通り骨ばかりの身体は可哀想な程やせ細っているが密着した肌から伝わる温もりは昔と変わらず皮膚を突き破って熱を与えてくれよう。それがとても嬉しくて、悲しくて一層の事一発殴ってやりたい気もするが変わり果てた身体にそんな事をする筈も無く、代わりに強く抱き締めたまま、掠れて消えそうな問い掛けに肩口に顔を埋めるようにして頷いてみせ。涙さえ出なくなってしまった瞳はかたく瞑ったまま瞳の裏には何も写さず、ただ其処に在る確かな存在だけに意識を研ぎ澄ませて。懐かしい香りに誘われて漸く口を開いたのはそれから暫く経った後、震える唇から溢れた思いは短く、それでいて多大な想いが込められた一言で収まり)ーーー会いたかった。
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