若き将校 2018-03-28 22:31:14 |
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(柔らかな日差しに包まれその白い肌と髪を眩しく輝かせる、相手の穏やかな声と温もりを感じる掌の感覚が心地良いのか猫のように目を細め。重過ぎる程の責任の象徴でもある軍服を脱いだ為か、その表情は数日前の夜に比べればだいぶ穏やかで憑き物の取れたようなもの。相手の手の甲に自分の掌を重ねつつ、不意にどうしようもない切なさに襲われる。大丈夫だ、と笑ってやるつもりだったのに、随分前から病を受容し諦めていた筈なのに、相手と触れ合うだけで心はこれ程に脆く、夢を叶えるしあわせな未来を望みそうになってしまうのだ。窓から差し込む明るい光の浮かんだ灰色の瞳に薄らと涙の膜が張り、唇が微かに相手の名前を呼んだだけで)ーー…、総一郎…
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