罪独 2018-03-11 18:58:21 |
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(14歳。確か罪の重さによっては大人同様に裁かれてしまうはずだと、考えているうちに扉の開く音がした。昨日までのように優しくはないおばあさんの声に恐る恐る振り向いた時、一瞬何が起こっているのか理解できなかった。まるで自分が首を絞められているかのように動けず、充血し、青ざめる肌をただ見つめていただけだ。父が死んだ日と同じように。「──どう、して」張り詰めた彼と動かない宿主を前に死なせてしまう必要なんて、とは口に出せず掠れた声が漏れるばかり、その声も激しい心音と微かに聞こえるサイレンに掻き消されてしまう。しかし彼が痛ましく咳き込む姿を見た瞬間体が勝手に立ち上がっていた。じっと立ち尽くす彼を抱き締め、乱れた呼吸を落ち着かせ、汚れた顔と手を拭いては「大丈夫、大丈夫だから。…行こう」声が震えないよう小さく告げる。部屋の前に並べてあった靴を履き、窓を開くとサイレンの音が一層大きく飛び込んできた。思ったより時間は無いらしいと冷静に考える自分を恐ろしく思いながらリュックサックを肩にかけ「窓から出るの。きっと裏口なら見つからない…逃げよう、誠くん」言いながら彼のほうへ振り向けばおばあさんと目が合った。ごめんなさい。本当にごめんなさい。でも、私はこの子を連れて逃げる。動けないなら背負ってでも。)
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