罪独 2018-03-11 18:58:21 |
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はい、分かりましたら、ありがとうございます、
(もしもの時はこれを持って逃げろ、と言っているのだろう。傍に置かれたリュックを見ては律儀に礼を述べる。風呂場へと彼女が向かった後。再びしん、と静まり返った部屋の中。ポツン、と其処に座る自分は一体どんな風に見えるのだろう。さて、ある程度髪も乾いた。叔母から持たされたスマホを開く。何かあってはマズイと考え、スマホ自体を初期化した為に今は何も入っていない。空っぽの其れを弄りながら暇を潰す。ある程度弄り飽きると、テレビをつける。今はどうなっているのか。ニュースに切り替えると、中学生と成人女性が行方不明になっており、成人女性の家の中で父親が死体として発見されており、現場に残っていた髪などから自身らだと判明した、とニュースキャスターが滑舌良く、緊迫した表情で語るのを目にする。ドクン、と心臓が跳ねる。そして、此方へと近づいてくる足音に直ぐにテレビを消す。部屋へと戻って来た彼女の言葉に無言のまま、小さく頷く。きっと彼女はこの事を知っている。昼間に動けば捕まる可能性が高いから夜にしたいのだろう。ここにいるのも時間の問題だ。宿のおばあさんがニュースを見て、勘ぐれば直ぐに出なくてはいけない。)
髪、乾かしてください。風邪引きます。
(髪の濡れた彼女はいつもとは違う雰囲気を醸し出している。正直、好きな人のそんな姿は中学生の自分には刺激が強い。恥ずかしがってるのを悟られない様に顔を逸らせば、そう注意して。
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