ナレーター 2018-02-17 14:36:55 |
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>怪盗さん
____はぇ。( 素っ頓狂な声を上げた。己が予想もしてなかった人物に、それも早朝から出会ってしまったからである。天から降ってきた様に見える彼は、何処までも沈んでいく様な、雑じり気の無い烏色。に、己には見える。ぼんやりとその不気味な色を纏う彼は何時も通り剽軽に言葉を溢しつつ、己に歩み寄ってくる。「はい、その お仕事なので」つっかえつっかえにしか返答出来ない己を少し情けなく思ったが、それもそのせい。何時もは頼りがいのある大好きな探偵さんが側にいるからだ。こんな事で小さくなっていては探偵助手として恥である。そうは思っていても じりじりと歩み寄ってくる彼に対して 反射的に一歩、二歩と下がってしまい。朝の風が木々を揺らすと同時に ほんの少しだけ緊張が走る。こんな事になるなら、今日だけは寝坊をして仕舞えば良かった__途端、深く重い炭色の色が浮かんだ。恐らくそれは、彼の腹の虫の仕業だろう。一瞬にして緊張の糸が解けてしまった。はあ、と小さく安堵の息を吐けば 彼らしく大袈裟に地に膝をつける姿に少しだけ眉を下げて。此は己にどうしろと言うのだろうか。己は探偵助手で彼は怪盗。此処で手を差し伸べてしまって良いのだろうか..。彼を見詰めたまま少しだけ迷った挙げ句、恐る恐る歩み寄り「..あの..、わたし、何も持っていないんですけど..」とだけ。彼をこの橙の音がする街で食事に連れていくなんて事はしたくは無いし、何より周囲からして変な光景になるだろう。..しかし、3日間も何も口にしてないとなれば かなり弱っている事になるのだろうか。どうにか少しだけ、ほんの少しだけ彼を助けてあげる事は出来ないだろうか。おろおろと視線を迷わせれば街に並んでいる一つのパン屋が目に留まり。静かに、彼の前で屈み込めば「..今日だけ。仕方がないので わたしが彼処で食べるものを買ってきます。..ですから、その、すみませんが 此処で待っていて下されば、..とても、助かります。」本当は手を貸すつもりは無かった。そう自分に心で言い聞かせながら、やたらと控え目に 助けの言葉を掛けて。 )
(/ うわ-!褒めて頂き幸いでございます! 怪盗さんも とても素敵です! 少しだけ質問をしたいのですが、探偵と怪盗と言う関係上『セス』と言う名は公にしていないのでしょうか。それとも有名な探偵故、知れ渡っているのでしょうか?どちらにするかとても迷ってしまったので『怪盗さん』と表記していますが、名前が知れ渡っているのであれば『セスさん』に直させて頂きたく..! )
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