依原燐 2017-12-17 22:10:00 |
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( 一瞬でも眼を離せば、次にはもう意識が途絶えてるかもしれない。生贄とて、大事な人物である事に変わりはなく、少しも目線を彼から逸らさず掌も控えめに握り続け。然し、軈て徐に身体を起こし始めた彼を間抜けな顔で唖然として凝視し、なにやってるの、と声を出そうとした口は空を切るばかり。未だ寝台に身を沈めてから幾分も経っていない、余りに馬鹿だ。驚愕から硬直状態に陥った己に彼が掛けた言葉は更に己を驚かせた。体調や具合が優れなくても、彼が一番に考えてくれているのは自分なのだ、と自覚し。 )
__ ば、馬ッ鹿じゃないの!?
( 何事も無かったかのように自室の扉から出ていく彼の背中に一先ず第一声。罵声に近いかもしれないがこの際些細な問題は気にしない。大袈裟なくらい扉を力強く開け放つと、案の定足取りが重くさほど距離も進んでいない無様な姿を見、つかつかと足早に歩み寄ると、そっと腰に手を添え微かに身体を支え乍決定事項と言わんばかりに言葉をまくし立て。 )
そんな状態で‥歩けてるのもやっとじゃない。言っておくけど、今日一日私はアンタに付き添うから。少しくらい自分の身を大事にしなさい、生贄のアンタが機能しなくなったら私だって困るわ。
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