xxx 2017-12-05 23:46:58 |
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>175 夏目央
…確かに、お前達の目にはこの館で見るもの聞くもの…全てが異質に映るだろうな……此処はそう言う場所だ。(不思議、それは此処へ招かれた死にたがりの多くが口にする言葉のひとつだった。何しろ、彼らが暮らしていた世界では到底存在し得ないものが在り、起こり得ない事が起こるのだ。そんな印象も無理は無いと言う事を、この館に住まう者の誰もが知っている。とは言え、彼女の様な年頃の少女がこうもあっさりとこの館での暮らしを受け入れようとしていると言う点ではやや特殊な例だった。経験上、齢18の頃と言えば、幼子の様に見るもの聞くもの全てを無条件に信じ受け入れる素直さも成熟しきった大人の様に物事を客観視し先ずは冷静であろうとする余裕もそれぞれ不十分、難しい年頃である。故に、この館における扱いも難儀する事も少なくないのだが…彼女は例外らしい。成る程、あの男が言っていた事はどうやら真の様だ――口には出さぬ内心にそんな思いを巡らせながら、此方を観察する様な彼女の眼差しをちらりと見返すと「…好きにするが良い。」と簡単な返事をした。紅茶への礼が聞こえて来る頃には既に彼女に背を向け、再び整理作業を再開させていたが耳は未だ意識は幾らか彼女の方へと向けられたままである。暫しの沈黙の後、重たく閉ざされがちな口をゆっくりと開いたかと思えば「…死にたがり、お前は此処での暮らしをどう思う…」とそんな問いを投げ掛けて)
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