---Abandoné【 指名制 】

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xxx  2017-12-05 23:46:58 
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 ある者の目で見れば、
 それは朽ち果てた館の跡。

 またある者の目で見れば、
 それは荘厳なる"ナニカ"の館。
 
 
 「 おいで。 」 「 おいで。 」
 「 ようこそ。 」 「 ようこそ。 」


 反復する囁きが聞こえたなら、
 手招くこの手が見えたなら、


 「 お前は館に 」 「 招かれた。 」
 「 館は 」 「 お前を 」 


 気付いた時には、もう遅い。


 「 「 つ か ま え た ! 」 」





>「 もぉいいかい? 」 「 まぁだだよ! 」


 

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  • No.163 by ファントゥーム  2018-01-09 23:26:25 




>162 マリウス


何れにせよ、お前は未だ暫く此処から離れられんさ――精々、少しでも気楽な過ごし方を見つける事だ…(窓から差し込む柔らかな光の先、彼が其処に何を見たか。何を思ったか。彼の耳に、それを問う声が響く事は無い。今日この日の会話が彼にとりどの様な意味を生んだか、その確かな答えを知ろうとはしなかったが、ひとつ確かな事がある。死にたがりだけが招かれるこの館で、死にたがりとして暮らしてゆくと言う事…理不尽以外の何ものでも無かった筈のそれを受け入れ、僅かでも楽しもうとするひとつの覚悟。彼の声に、表情に、仕草に、それを見た。何処と無く、息の詰まる様な重さを孕んだ空気がふっと軽くなったのは、彼が此処に来て初めて発した軽さのある一声が響いた時。心なしかその瞬間、薄い唇に微かな笑みが乗せられるのを彼の目は見ただろうか。彼の手が数冊の本をひょいと本棚から抜き取る頃には、既にテーブルの傍を離れて持ち場に戻っている。有難うと、そう言う彼の声には答えない。ただ、明かりが消えたままの暗い読書スペースへと向かっていくその背へちらりと目を遣った後、ふっと小さく振り翳した左手が彼の向かう先に優しい橙色の明かりを灯した。以降、蔵書室には誰の声も聞こえない。とすん、とすん、と時折本棚に本がしまわれていく音だけが、日暮れまで静かに響いていたのであった。)




…誰かと過ごすのはあまり得意ではないが…そう悪いものでもないと…今は、そう思う。
私からも感謝しよう…良い時間であった。

暖かくして眠れ…今夜はよく冷える。
館はお前を歓迎する…気が向けば、また此処へ来ると良い…

では、良い夢を――






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