健二 2017-09-28 22:32:08 ID:c196a580b |
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へえ…
(有紗の差し出すスマホの画面を見て、まるで実感の湧かない返事をし)
こんなに細かく買ったものとか毎日の食事の献立まで書いてるんだね!すごい
(むしろそっちに興味が引かれたようで)
なんか楽しそうじゃん。俺もやってみよう。
(面白いゲームを教えてもらったかのような反応)
(タクシーが左手に見える上野駅を横切る。ここは初めて有紗に会った場所。そしてこの道も、有紗を乗せて走った場所)
俺さ、有紗と会って気づいたんだ。
このままじゃいけない。このままじゃ腐っちまう…って。
親父には散々「働け!」「就職しろ!」って言われたけれど、それの意味が解らなかった。なにも労働しなくとも、俺の生活はそれなりに充実してたし、欲しいものなんて特になかったから。
有紗と会って、初めて「どうしてだろう」って考えたんだ。
そして気づいたよ。
俺は親父のスネをかじっていただけなんだな…って。
(明治通りと交差する大関横丁の信号を越えて、ここから道路は昭和通りから日光街道に名前を変える。先程からルームミラーでチラチラ後部座席の様子を窺うタクシーの運転手は、さらに速度を上げてひたすら北へアクセルを踏み込む)
親父の告発で先輩が逮捕されて、よくよく考えた。いましかない…って。
だから家を出ることを決めた。
自分で働いて、それで得た金で自立して生きる。
車も売ったし、これからはカードでなんでも買えることはなくなったけど、それでも試したいんだ。
自分がどこまでやれるかを…。
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