※ 主得注意
一寸先も見えぬ様な霧を抜け、木々が生い茂る獣道を進むと一つの寂れた洋館が佇んでいる。壁には蔦が這い、薄汚れた窓からは破れたカーテンが見える建物は御世辞にも綺麗とは言い難い姿をしていた。
2メートルはある大きな観音扉は凝った装飾が施され、黒く重厚感がある。押してみると然程重さは無く、然し何とも不快な音を立て、ゆっくりと開かれる。其処に広がるのは薄暗く埃っぽいが、辛うじて色が判る赤絨毯のロビー。中央には大きな階段が、まるで獲物を誘うかの様に鎮座している。左右には薄暗い廊下が伸び、雰囲気は不気味の一言に尽きる。ゆっくりと慎重に、警戒しながら階段を上れば左右に曲線を描いた廊下。そして目の前には玄関と同じくらいの扉が聳え立つ。
不快な音と共に開かれた扉の向こうには、にんまりと意地の悪い冷笑を浮かべた麗人が一人。
『 待ち侘びた──。俺様を待たせるとは良い御身分だな、グズ。 』
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