どっかでお会いしたことありますか。

お前が優しいからだろう。
(　まさか、貴方の前世は付喪神なんですよ、なんて何も知らない彼に言えるはずもなくそれらしい理由を述べては誤魔化して。嘘をついている事への罪悪感はそれなりにあるらしくふい、と視線をそらして。言えないそう思えば思う程、自身のことを彼に思い出してほしいという欲望は強まって。ぶんと頭を振ってそんな考えを打ち消すと相手に向き直ってはやや口端をあげるとわかりにくいが微笑んで。　)

ええ？そしたら優しい人みんな見えてもおかしくないんだけどなぁ…
（何故見えるのか、その理由が分からずに悩んでいるとそう言われては眉を寄せ首を傾げて。なぜ自分だけなのか、それには理由があるのか…など考え込んでいても分かるはずもなく。まぁそれでいいかと切り上げるといつの間には空は夕焼け、そろそろ夕食を作らねばと思うと制服のネクタイを外しブレザーを脱ぐとハンガーに掛けてエプロンを着け。彼も食事が出来ることもわかれば｢ねぇ、伽羅ちゃん。今日は何を食べたい？｣と聞いてみて）

俺が、光忠には見えてほしいと思ったから、で納得するか？
(　真実を紡ぐ事が出来ないためどうしたものかと悩みながら、自身は上手く嘘がつける人間ではないため視線をうろうろとさせた後、少しだけ照れくさそうにしながら上記を述べると髪に隠れてはいるものの耳を薄らと赤らめて。彼の着替えの様子を見ていればそれはもう、昔の彼の生き写しであり懐かしむように目を細めれば聞かれた夕食の問も久々に聞くもので初めてではないため何処と無く嬉しそうにして。）
御前の得意料理食わせてくれ。

はは、そうだとしたら嬉しいなあ
（それはつまり、自身にそれを望んでくれていたからという事なのだろう。なぜそれを望んだのかまでは分からないがにこりと笑みを浮かべては嬉しそうな口調でそう述べて。何だかいつもより今日は彼の機嫌もいいなと思うもそれを口には出さずにいて。得意料理と言われると少し考えた後に｢よし、じゃあハンバーグでも作ろっかな｣と提案して）

御前が嬉しいならそれでいい。
(　さしたる理由説明など出来るはずもないのであれば、彼の中での最適解を出して貰えば良いと思ったのか相手の言葉に頷いてやや適当な合意の言葉を告げて。物など食べたのは久しぶりの事であるが、彼の作る料理が美味しいということは他でもなく自分が一番分かっているので期待は膨らんで。　)

（彼と他愛の無い会話をしながら、手際よく調理していき。今まで共に過ごしてきたとはいえ、共に食事をするのは初めてだと思うが僅かに何故か懐かしさもあり。そうしているうちに完成するとさらに盛り付け、テーブルへと運び｢はい、光忠特製ハンバーグ！｣と彼の前へと並べ）

( 彼と過ごしている時は他愛ない会話さえ愛おしく思えて、素っ気なく相槌をうっているようでいて、内心その会話の１つ１つを脳裏に焼き付けていて。ふわりと漂ういい匂いにつられて厨、今の世では台所と呼ばれる其処へ歩いていって作業を見守っていて。目の前に並んだそれは確かに彼の手料理で。姿が小さいせいか昔見たそれより幾らか小さいがハンバーグが懐かしく感じられたのか涙腺が緩みかけるがいつも通りを装い手を合わせて。久々に唱えるあの言葉を口に出して。）
いただきます、だったな。

うん、そうだよ。いただきます
（やはり料理をする事は楽しいようで、こうして僅かにだが嬉しそうにしてくれる相手がいる事もありがたい事だと思い。手を合わせて、挨拶をするのを見てはそれに頷き自身も同じように手を合わせて）

光忠の飯は相変わらず美味いな。
( 幾年前と変わらぬその美味しさに思わず頬を緩めつつ、彼の食事を食べるのは彼にとって今日が初めてのはずが、思わず口をついて出た言葉にしまったというように硬直して。なにか取り繕おうと口を開くも適切な言葉が出てこずに暫し考えて、彼の周りの人の反応を見ていたということにして。）
嗚呼…振舞った奴らが喜ぶのも頷ける。

相変わらず？…ふふ、さすが伽羅ちゃん。周りをよく見てるんだね
（頬を緩ませ食事を進めるのを見ていては、やはりどこか懐かしい気もするが記憶が無い為にも思い出せるわけもなく。相変わらずだと告げた彼の言動には何処か迷っているようにも見え、首を傾げるも追求するわけでもなくそう言って）

あ、嗚呼…俺と話せるのは御前だけだからな。退屈する事も多いんだ。
( 相手が言及してこない事に胸を撫で下ろしながら、退屈なんていえば白鶴を思い出してしまうも彼に話す事でもないため緩く頭を振って思考を飛ばし、目の前のハンバーグを食べ終えると｢ご馳走様、美味かったぞ。｣と告げるとふよふよと皿を水道まで運んでいき、徐々に物に関与出来るようになった事に驚きと喜びを感じていて。）

ふふ、それは良かった。また作ってあげるね
（彼の姿は自身しか見えない、それ故に学校に行っている時などは彼も傍には居てもあまり会話できないために確かに退屈なのだろうと思い。食事を終え、美味しいといわれると笑みを零し上記を述べて自身も皿を運び）

嗚呼、期待している。
( 偶には素直に思いを告げるのも悪くないかもしれない、なんて思いながら言葉を紡ぐ姿はかつて自身の拒んだ馴れ合いそのものである気がするも、今はそれすら心地よく感じられて。彼の笑顔をが見られればそれで幸せになれるあたりは、自身も単純になったものだと思わずふはりと溜息をつきつつも口角を上げて。）

…何だか、こうしてると懐かしい感じがするんだ。
（食器を洗い、ソファーへと腰掛けテレビを見ながらまた話をしていて。彼と共に過ごす時間はやはり懐かしく思えて。言葉にするつもりは無かったのだが、ポツリと上記を呟いて。ハッとすれば苦笑浮かべ｢あっ、ごめんね。変な事言っちゃった…｣と続け）

一度上げさせてもらうね、また君に会えますように。

…そうか？他人の空似か何かか…それともでじゃぶ？というやつか？
( 相手の言葉にばらせない自分と相手の関係にどうしたものかと悩むも、なにか繕わねばと少し焦ったように上記を告げ。慣れない横文字は正しいのか不安になるらしく、後ろにはクエスチョンマークが付いていて。ただ、自分の感じるような懐かしさを記憶が無い相手も感じているというのは嬉しいらしく、少し御機嫌で。）

遅れてすまない…。背後が受験生だったものでな。これからは滞りなくへんしんできるはずだ。

そうなのかなぁ？まあ、考えても分からないし…そうかもしれないね
（確信が持てないのだから、彼の言葉に頷くしかなく。元よりそこまで記憶力も無い、忘れているだけかもしれないと思えばそうすることにしたようで。壁に掛けられた時計を見やるとそろそろ風呂に入ろうかと思い｢あ、僕お風呂に行ってくるよ。伽羅ちゃんはゆっくりしててね｣と告げ立ち上がり）


嗚呼、そうだったんだね。お疲れ様です！
それじゃあ今後共よろしくお願いするね

嗚呼。此処に俺のような者がいるのは珍しい気もするが。
( 誤魔化しつつ自分との思い出に気づいてほしいと思ってしまうのか、自分で出した提案の確証を弱めるような矛盾した発言をしてしまいつつも、風呂に入るという相手を静かに見送り、かつての彼がよくしたように軽く手を振ってみたりして。好きにと言われても出来る事は少ないせいかふよふよと漂いながら他愛ない考え事をして。）

（彼の姿が自分にしか見えないこと、懐かしく感じることもデジャヴなのだろうと思うもののやはりどこか引っかかるような気もして。しかし分かるわけもないのだから考えても意味は無いだろうと思い。そんなことを考えながらゆっくりと風呂に入ると少し長かったかな？なんて思いながらパジャマに着替えてリビングへと戻り｢はぁ、スッキリした｣と告げ）

もう一度上げさせてもらうよ。ゆっくりでいい、待ってるね。