ノクティス 2017-01-28 19:21:40 |
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(自身が紡いだ小さな呟きを受けて、彼は何かを考え込んでしまったらしい。その場で静かに立ち尽くす相手をちらりと見れば、彼のその目が何処か遠くを見ていることが確認出来て。シャッターを切りつつも何となく彼の寂しげな様子を察してしまえば、その体躯がいつもよりも小さく思えた。腹の前で握り締めたカメラをただただ見詰める。自分は何かいけないことを言ってしまっただろうか、そんな不安がふと頭を過ぎったためだ。しかし、一通り思い返してみたところでそんな失敗は一切見当たらない、と思う。ならば何故――と思考を巡らせた時だ。聞きようによっては縋るような声色の言葉が耳に入り、思わず目を瞬かせる。一緒に寝る?添い寝? 無論嬉しいお誘いであることに変わりはないのだが、何故その頼み事に行き着いたのかがわからず、真意を探るべく隣へと視線を向ける。彼は海辺を見ていた。その揺れる瞳に、何となく、放っておくのは駄目だと感じた。言葉には出さないまま全身で寂しさを訴える彼を少しでも温められたら。そんな感情のままに相手を真正面から抱き締めては)
態々許可なんか取らなくてもいいの、ノクトのしたいようにしてよ。オレ、ノクトのお願いなら何だって聞くよ?――…なんて言ってると、王子を甘やかし過ぎだーってイグニスやグラディオに怒られそうだけど。
(ただ安心してほしくて、背中を片手でとんとんとあやす様に撫でる。ノクトのお願いなら何だって叶えたい。その思いは嘘じゃない。緩り目線を上げれば、星を鏤めた夜の空が視界いっぱいに広がる。ノクトの色だ。綺麗で優しい、ノクトの色。今彼を包んでいるのは己だと言うのに、己が彼に包まれているような錯覚をしてしまう。背を撫でる手を止めぬままに口を開けば「…ね、大丈夫だよ、ノクト」と。どうしたって彼の心の内はわからないけれど、せめて寄り添うことで彼を支えることが出来たなら。その一心で、またぽつり)
傍に居るから大丈夫。…今日は一緒に寝ようね、ノクト。
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